1. Amazon、新汎用AIエージェント「Nova Act」発表
Amazonはウェブブラウザを自動操作できる汎用AIエージェント「Nova Act」を公開しました。Nova Actはユーザーに代わってウェブ上で情報入力や予約などの簡単な作業を独立して実行できます。開発者向けにツールキット(SDK)も提供され、これを使って独自のAIエージェントを構築可能です。Nova ActはAmazonの次世代Alexa(Alexa+)にも搭載予定で、競合のOpenAIやAnthropicの類似技術に対抗する戦略的製品となっています。
https://techcrunch.com/2025/03/31/amazon-unveils-nova-act-an-ai-agent-that-uses-a-web-browser/
2. 高精細なAI動画生成モデル「Runway Gen-4」リリース
スタートアップRunwayはAIによる動画生成モデルの新バージョン「Gen-4」を発表しました。Gen-4は個人および企業向けに提供され、シーンをまたいでも人物や場所の一貫性を保った高精細な動画を生成できるとされています。静止画やテキストから映像を作り出し、登場人物や映像スタイルの統一感を維持する点で前世代より大幅に改善しているとのことです。動画生成AI分野ではOpenAIやGoogleなどとの競争が激化していますが、Runwayはハリウッド大手との提携や資金提供を通じ、独自性を打ち出そうとしています。
https://techcrunch.com/2025/03/31/runway-releases-an-impressive-new-video-generating-ai-model/
3. 中国・アリババ、旗艦AIモデル「Qwen 3」4月にも投入へ
Bloombergの報道によれば、中国のIT大手アリババグループは自社の主力AIモデルの新バージョン「Qwen 3」を4月中にもリリースする計画です。中国では新興のDeepSeek社が高度なAIモデルを発表し世界的な注目を集めており、アリババは今年1月にその対抗策として前モデル「Qwen 2.5」を急遽公開するなど、国内外のAI競争が激化しています。Qwen 3の投入は、このAI競争時代におけるアリババの巻き返しを狙った動きとみられます。
4. 「AIチームメイト」効果:AIで個人がチーム並みの成果を発揮
ハーバード大学やウォートン校などの研究者が行った実験で、AIを使った個人はAIを使わない2人チームと同等の成果を上げることが確認されました。プロクター・アンド・ギャンブル社の社員776人を対象にした研究で、AI活用によって仕事の質や生産性が向上し、トップ10%の優秀なアイデアが生まれる確率も3倍に高まったといいます。AIが部署間の知識の壁を取り払い、従来の専門外の分野にも従業員がアイデアを出せるようになる効果も観察されました。この「サイバネティック同僚」に関する研究結果は、組織のチーム編成やコラボレーションの在り方を再考させる内容です。
5. Scale AI、需要急増で2025年売上20億ドル見通し
生成AIブームを支える米スタートアップScale AIの業績が急拡大しています。Bloombergの報道によると、同社は2024年に約8億7千万ドルの収益を上げ、年末には年換算15億ドル規模に達しました。そして2025年には売上が20億ドル(約2倍)に達する見通しとされています。また、同社は企業価値250億ドル規模での自社株買い取り(従業員株の売却受け入れ)も検討中と報じられました。データ整備など裏方のAI技術需要の高まりを示す動向です。出典: Bloomberg(Investing.com経由)
6. OpenAI vs Anthropic:学生ユーザー獲得競争が過熱
米AI企業のOpenAIとAnthropicが、大学生向けの無料AIサービスを相次いで提供し、次世代ユーザーの獲得競争を繰り広げています。OpenAIは全米の大学生・教職員約50万人に対しChatGPTの教育版を無償提供開始。一方Anthropicも学生に無償提供を打ち出し、「未来の常用AIツール」の地位を狙っています。生成AIブームの中、若年層ユーザーを囲い込むべく両社がしのぎを削っている状況です。
https://www.theverge.com/ai-artificial-intelligence/641193/openai-anthropic-education-tool-college
7. SandboxAQ、GoogleやNvidiaから1.5億ドル追加調達
AIスタートアップのSandboxAQは、新たにGoogleやNvidiaなどから1億5千万ドル(約200億円)の追加資金を調達しました。この投資により、同社のシリーズEラウンドは累計4億5千万ドルに拡大し、評価額は約57億5千万ドルに達しました。SandboxAQは量子コンピューティング技術も活用したAIモデルを開発しており、大手テック企業が将来有望なAI企業に積極的に出資する動きの一例となっています。
8. マイクロソフト、Copilotに行動実行や記憶機能を強化
創立50周年を迎えた米マイクロソフトは、同社のAIアシスタント「Copilot」に大幅な機能拡充を発表しました。Copilotがユーザーの個人情報(好みや予定など)を記憶し、誕生日リマインドやプレゼン準備支援など主体的に行動する機能が追加されます。音声アシスタントから進化し、ユーザーの指示を待つだけでなく自発的にサポートすることで、より実用性を高める狙いです。激化するAI競争の中、創業50年の同社が次のイノベーションに向けてAI技術に注力している姿勢が示されました。
9. Meta、LLM最新モデル「Llama 4」を2種公開
米Meta(旧Facebook)は、最新の大規模言語モデル「Llama 4」を発表しました。今回リリースされたのは用途別に最適化された2種類のモデルで、名前はLlama 4 ScoutとLlama 4 Maverickです。Metaは自社の生成AI技術を開発者コミュニティにも開放しており、オープンソース戦略の一環としてこの最新モデルを通じてAI研究やアプリ開発をさらに促進するとしています。
https://www.reuters.com/technology/meta-releases-new-ai-model-llama-4-2025-04-05/
10. Amazon、KindleにAI要約機能「Recaps」導入
Amazonは電子書籍端末Kindleにシリーズ小説の内容をAIが要約してくれる新機能「Recaps」を追加しました。各巻の重要な登場人物やストーリー展開を短くまとめ、次の巻を読む前に内容をおさらいできる仕組みです。要約は生成AIと人間のモデレーターによって作成されるといい「正確に内容を反映するよう努めている」とAmazonは説明しています。まず米国のKindleユーザー向けに提供が開始されており、読者の利便性向上を目的としたAI活用の一例となっています。
編集者コメント
5番目の記事でとりあげているScale AIというスタートアップ。2016年にアレクサンドル・ワン氏(当時は19歳のMITの学生)によって創業されたアメリカの企業です。
大規模なデータの分類やアノテーション(タグ付け)、モデルの検証など、AI開発に欠かせない“データ整備”をサポートしていて、Googleなど大手や政府機関との取引実績があり、セキュリティ・信頼性が高いのが強みです。
データ界隈でいくと、一時期は「データの壁」といって、「ネット上のデータは学習に使い切ってしまった。どうしよう・・」的な話が上がることも多かったのですが、最近は全く聞かなくなりました。
言語データはネット上のデータで学習済み(これでOKなんじゃない?)ということ、あとScale AIのような会社が合成データ(人工的に新しいデータを生成)を作ってくれるようになっているということ、あとネット上にはないけど、元々無かったデータが増えてきた=アナログだったものがデジタルに置き換わってさらにデータ量が増えてるというところなんかが要因かなと。
AIもデジタル化もまずはデータありき、なのでこの界隈がさらに盛り上がってくのは必然なのかなと思います。