① ジェフ・ベゾス氏、AI新興企業「プロジェクト・プロメテウス」の共同CEOに就任へ
アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が、新設されたAIスタートアップ「プロジェクト・プロメテウス」の共同最高経営責任者(CEO)に就任すると報じられました。同社は製造業(コンピューター、車、宇宙産業)の生産プロセス改善にAIを活用することを目指しており、既に62億ドルもの出資を集めた初期段階の企業です。ベゾス氏自身も資金提供者の一人となっており、Googleの先端技術開発部門「X」で活躍していた物理化学者のヴィク・バジャジ氏ら共同創業者と共に経営にあたる予定です。これはベゾス氏が2021年にアマゾンCEOを退任して以来、初の企業経営の現場復帰となる見込みで、AI分野への積極的な関与が注目されています。
https://www.theverge.com/news/821943/jeff-bezos-project-prometheus-co-ceo-funding-ai-startup
② Google、新たなAIモデル「Gemini 3」を発表・提供開始
Googleは自社の最新AIモデルとなる「Gemini(ジェミニ)3」を発表しました。Gemini 3は推論(物事を筋道立てて考える能力)やマルチモーダル(画像と言語など複数の情報を統合する)処理能力が大幅に強化され、「これまでで最も知能が高いモデル」と位置付けられています。同社はこの新モデルを「知能の新時代」の幕開けと称し、発表当日からGoogle検索エンジンのAI機能(AIモード)に組み込み、専用のGeminiアプリや企業向けクラウドサービス(Vertex AI)など複数の主要製品で即座に利用可能にしました。このGemini 3のリリースにより、GoogleはAI競争の先頭を走り続ける構えで、今後は高度な推論能力を活かした自動エージェント機能「Gemini Agent」など新機能も順次提供していく予定です。
③ Google、動画編集サービス「Vids」で高度AI機能を無料開放
Googleは動画編集サービス「Google Vids(グーグル・ヴィッズ)」において、これまで有料版(Workspace加入者)向けだった強力なAI機能の一部を無料で一般ユーザーにも開放しました。具体的には、テキストで入力したアイデアから自動でビデオのアウトラインを作成する「Help me create」機能、録画音声から無音部分や口ごもり(「えー」「あー」など)を文字起こしデータ上で削除することで映像も自動編集する「トランスクリプト・トリミング」機能、プロの声優のようなAI音声でナレーションを生成する機能、そして編集画面内で必要な画像をAI生成できる機能など、動画編集を劇的に簡易化するGemini搭載のツール群が一般のGmailアカウントでも利用可能になりました。これにより専門知識がなくても誰もが手軽にAIを活用した映像制作を行えるようになり、Googleは動画編集を「スライド作成並みに身近」にすることを目指しています。
https://blog.google/products/workspace/google-vids-expands-ai-access/
④ 「AIバブル崩壊なら無傷の企業はない」GoogleピチャイCEOが警告
米Alphabet傘下Googleのスンダー・ピチャイCEOは、AIブームがもし弾けた場合「我が社を含め、どの企業も無傷ではいられないだろう」とBBCのインタビューで警告しました。ピチャイ氏は現在のAI投資熱について「異常な高揚感(非合理な熱狂)がある」と指摘し、2000年前後のドットコム・バブルになぞらえて過熱感に注意を促しています。仮にAIバブルが弾けてもGoogleは耐えられるとしながらも、同氏は「どの企業も例外ではない」と述べ、楽観は禁物だと強調しました。また、AIモデルの大規模化に伴う莫大な電力消費についても言及し、環境目標である自社のカーボンニュートラル(排出ゼロ)達成が計算需要の急増により遅れる可能性があると認めています。こうした発言は、近年のAI株高に沸く市場に冷静さを促すものとして受け止められています。
⑤ AIブームに「バブル崩壊」の声、NVIDIA好決算で楽観論も
AI(人工知能)への莫大な投資が世界的に続く中、その熱狂ぶりに対して「バブルではないか」「いずれ弾けるのではないか」との懸念が投資家や専門家の間で広がっています。実際、ハイテク株中心の米ナスダック指数はこの11月に入り約5%下落しており、次世代技術に数兆ドル規模で投じた資金の回収に時間がかかるのではないかとの不安が高まりつつあります。こうした中、AI半導体最大手の米NVIDIA社は先週発表した四半期決算で市場予想を上回る収益と強気の来期見通しを示し、同社株価は時間外取引で4%以上急騰しました。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは「AIバブルではなく本物の技術変革だ」と強調しており、AIブームの持続性をめぐり悲観論と楽観論が交錯する状況です。
https://www.latimes.com/business/story/2025-11-20/is-there-ai-bubble-has-it-started-to-burst
⑥ AI音楽スタートアップ「Suno」、25億ドル評価で資金調達
AIによる楽曲生成サービスを提供する米スタートアップ「Suno(スノー)」が、シリーズCラウンドで2億5千万ドル(約375億円)を調達し、企業評価額は24.5億ドルに達しました。Sunoはユーザーが月額8ドルまたは24ドルを支払うことで、テキストの指示からAIが曲を作り出すサービスを展開しており、このモデルの商業クリエイター向けバージョンも提供しています。同社によれば現在の年間収益は2億ドル規模に上っており、口コミによる利用者拡大で急成長を遂げています。一方で、Sunoはインターネット上から無断取得した楽曲でAIを訓練したとしてソニー・ユニバーサル・ワーナーの大手レコード会社3社から著作権侵害で提訴されており、法的リスクを抱えています。それでもNVIDIAの投資部門を含む複数の大手ベンチャーキャピタルが出資を主導しており、法的懸念を押してもAI音楽市場の可能性に賭ける投資家の熱気がうかがえます。
⑦ OpenAIとフォックスコン、AIデータセンター機器の開発で提携
iPhone受託生産で知られる台湾のホンハイ精密工業(フォックスコン)と米OpenAIが、AI需要の急増に備えデータセンター向けハードウェアの共同設計・製造で提携すると発表しました。フォックスコンは米国内の工場でサーバーラックや電源装置、ネットワーク機器などAIインフラに必要な部品を設計・生産し、OpenAIはそれらを優先的に評価する権利と購入オプションを得ます。今回の合意には具体的な購入数量の約束や金銭的義務は含まれていませんが、フォックスコン側には主要AI企業から将来のニーズを学び、次世代製品に反映できるメリットがあります。OpenAIのサム・アルトマンCEOは自社の巨大言語モデルを支える計算基盤を強化するため、今後数年間で1.4兆ドル(約210兆円)を投じて発電容量30ギガワット相当のデータセンターを構築する計画を掲げており、今回の提携はAIインフラ拡充に向けたハード面での戦略的一手と位置づけられています。
https://www.reuters.com/world/china/foxconn-openai-partner-ai-hardware-manufacturing-2025-11-20/
⑧ 次世代AI「GPT-5」が科学研究を強力支援、新たな発見も
OpenAI社の次世代大規模言語モデル「GPT-5」が、科学の現場で共同研究者のような役割を果たし始めています。GPT-5を活用したケーススタディ集によれば、物理学ではブラックホール周辺での波の振る舞いに関する難解な方程式を自力で解き既知の結果を再現したほか、核融合エネルギーの研究では新しいモデルを提案して実験の進行を加速させることに成功しました。数学分野では、1992年に提起され未解決だった問題(エルデシュの問題)の証明を導き出し、さらにアルゴリズムの限界に関する新たな規則性や、樹状パターン内に潜む特定構造の発見など小規模ながら複数の新知見をもたらしています。もっともGPT-5も誤った回答や架空の論文をそれらしく引用するといったミスを犯すことがあり、研究者はその都度誤りを訂正しながら活用しました。。専門家らは「AIはあくまで高速な助手」であり人間の判断力と組み合わせて使う必要性を強調しています。それでもわずか数年前には考えられなかったAIの研究支援能力に、科学界では今後の可能性への期待が高まっています。
⑨ Metaのヤン・ルカン氏が退社へ――社内AI組織に不協和音、新企業で独自路線追求
米Meta社で長年AI研究部門を率いてきたヤン・ルカン氏(Yann LeCun)が年末で同社を退職し、新たに自身のAIスタートアップを立ち上げると発表しました。ルカン氏はSNS上で「以前から関心を寄せてきた世界モデル研究に取り組む企業を興す」と表明しており、新会社にはMetaもパートナーとして協力する予定だといいます。Meta社内ではここ数ヶ月、他社から高額待遇で引き抜いた人材を多数受け入れつつAI部門を「超知能ラボ」へ再編した結果、新旧スタッフ間で摩擦が生じ一部では退職の意向も出るなど不安定な状況が続いていました。ルカン氏自身、巨大言語モデル(LLM)偏重の現在のAI開発トレンドに懐疑的で、環境の物理的理解に基づく独自のJEPAアプローチを主張してきましたが、商業志向でLLMを拡大する社内方針との溝が指摘されていました。このAI分野の重鎮の退社表明は、MetaにとってAI戦略の転換点となる可能性があり、今後の動向が注目されています。
https://www.businessinsider.com/metas-chief-ai-scientist-leaving-to-start-new-ai-company-2025-11
⑩ ノキア、米国に40億ドル投資しAI対応の通信ネットワーク強化へ
フィンランドの通信大手ノキアは、今後3年間で米国に40億ドル(約6,000億円)を投資し、AI対応の次世代ネットワーク技術の研究開発(R&D)と製造を強化すると発表しました。投資額のうち約35億ドルは無線・光通信やデータセンター向けなどあらゆるネットワーク分野のAI活用技術研究に充てられ、残る5億ドルでテキサス州、ニュージャージー州、ペンシルベニア州にまたがる同社拠点の製造設備を増強します。新CEO就任後に「AIスーパーサイクル(特需)」を見据えた戦略を掲げる同社は、米国での存在感拡大を経営の柱に据えており、昨年にはAIチップ大手の米NVIDIA社から10億ドルの投資を受けて次世代通信(6G)技術で協業する提携も結んでいます。今回の大型投資は、通信インフラ分野におけるAI活用ニーズの高まりに対応し、米政府のインフラ投資計画(BEADプログラム)で進む地方通信網整備の需要も取り込む狙いです。
https://www.reuters.com/business/nokia-plans-4-billion-ai-investment-united-states-2025-11-21/
⑪ AIが地球最古の生命痕跡を発見、光合成の歴史800百万年さかのぼる
人工知能(AI)が地球約33億年前の岩石に含まれる有機物パターンを分析し、生命活動に由来する分子の痕跡を識別することに成功しました。これはそれまで約16億年前とされていた最古の生物の分子証拠を一気に倍以上さかのぼる発見であり、研究チームはAIによる解析で約25億年前の岩石から光合成生物に由来する酸素発生の兆候も検出したと報告しています。この手法は膨大な有機分解産物のデータから生命由来パターンを識別するもので、将来的には火星探査ローバー上にAIを搭載し、試料を地球に持ち帰らずに生命の痕跡を現地検出することも可能になると期待されています。今回の成果は生命の起源解明に向けた一歩であると同時に、惑星探査におけるAI活用の可能性を示す画期的事例として注目されています。
編集者まとめ
今週は4記事目、5記事目の「AIバブル」について取り上げてみたいと思います。
巷でもこの話題でだいぶ盛り上がっていて、「AIバブルがそろそろはじけそう」とか「どの企業から脱落していくのか」「ネオクラウド企業が・・・」なんて話が飛び交っています。
確かにOpenAIとかLLMサービスを提供している企業なんかは、Saas以外のキャッシュポイントを見つけないといずれ時価総額が大暴落するのかなぁと思いますが、一方で好決算だったNVIDIAをはじめ、AIに必要なもの(GPU、データセンター関連、エネルギー)を提供している企業はしばらくは伸びていくんだろうと思います。
ちなみにLLMを提供している企業でいうと、OpenAI以外にもAnthropicやGoogle、Metaなんかもいるわけですが、後者の2社(Google、Meta)は別ビジネスで儲けてるのでまだ保険がきくというのがOpenAIとは決定的に違うところ。
OpenAIはどうにかしてでもAIで覇権をとって儲ける道をみつけないといけない。これは相当なプレッシャーで、サムアルトマンも大変だろうなと思うわけです。彼の心労を思うと、自分はいかに楽な立場なんだろうと。
そういえばSoraって全然聞かなくなりましたね・・・TikTokには溢れてるようですが。
.webp)
.webp)
.webp)




.webp)