海外のAIニュースまとめ(11/3〜11/9)

atmaLab編集者
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November 10, 2025
海外のAIニュースまとめ(11/3〜11/9)
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① AWSとOpenAIが戦略提携

Amazon傘下のクラウド大手AWSとChatGPT開発元のOpenAIが、複数年にわたる戦略的パートナーシップを締結しました。OpenAIは即時にAWSの大規模クラウド基盤を利用できる=数十万基の最先端GPUを含む大規模計算資源へアクセスできるようになります。契約規模は約380億ドル(約5.7兆円)にも上り、今後7年間でOpenAIがAWS上でAIの高度な推論・エージェント(自律AIシステム)の大規模実行に必要な計算能力を飛躍的に拡大することが可能になります。Microsoftと緊密な関係にあるOpenAIがAWSも採用することで、クラウド計算基盤の分散と一層の性能向上を図る狙いです(※Microsoftも引き続き主要パートナー)。この提携により、OpenAIはより多くのユーザーに高度な生成AIサービスを安定提供できる体制を整え、AWS側も最先端AI需要を取り込むことになります。

https://openai.com/index/aws-and-openai-partnership/

② Snapchatに対話型AI検索導入へ

若者に人気のSNS「Snapchat(スナップチャット)」運営会社Snapは、AIスタートアップのPerplexity社と提携し、チャットボット型の会話AI検索機能をアプリに統合すると発表しました。Perplexity社のAIエンジンがSnapchat内でユーザーの質問に対し直接検証可能な回答を返す仕組みで、ユーザーはアプリを離れず疑問を解決できます。この提携に伴い、Snap社はPerplexityに対して1年間で総額4億ドル(約600億円)相当を現金と自社株で支払う契約となっており、収益貢献は2026年から見込まれます。Snapは対話AI機能を取り込むことで、TikTokやInstagramなど大手競合に対抗しつつユーザーのアプリ滞在時間を伸ばしたい考えです。発表翌日、Snap社の株価は時間外取引で一時16%急伸しました。

https://www.reuters.com/business/snap-beats-revenue-estimates-ad-boost-unveils-deal-with-perplexity-ai-2025-11-05/

③ Apple、音声アシスタント「Siri」刷新にGoogleのAI採用か

米アップルが、自社の音声アシスタント「Siri(シリ)」の高度化に向け、Googleが開発した最先端の生成AIモデル「Gemini(ジェミニ)」を活用する方針であることが報じられました。Appleは独自のAI開発が整うまでの繋ぎとしてGoogleの技術を使う計画で、Googleに対して年間約10億ドル(約1,500億円)を支払う条件で最終調整中とされています。Geminiは1.2兆個という巨大なパラメータ数を持つ次世代AIモデルで、従来のSiriより格段に高度な対話・処理能力を提供します。実現すればSiriは複雑な連続質問や他アプリとの連携にも強くなり、GoogleもAppleのエコシステム内にAI技術を供給する形となります。ただしこの提携は音声AIに限ったもので、AppleのシステムにGoogle検索エンジンを組み込む計画は含まれないと報じられています。

https://www.reuters.com/business/apple-use-googles-ai-model-run-new-siri-bloomberg-news-reports-2025-11-05/

④ AI株式の熱狂に一服感 – 世界市場で調整、韓国・日本株急落

世界の株式市場でこの日、AIブームを背景に高騰していたハイテク銘柄に急な利益確定売りが広がり、大きく値を下げました。アジアでは韓国総合株価指数(KOSPI)や日経平均が朝方の高値から約5%も下落し、米国市場でも半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価が前日比4%近く下落するなど、AI関連銘柄が軒並み売られました。明確なきっかけはなかったものの、AI企業の高すぎる企業価値を警戒する声が金融界で相次いでいた中で、直近まで買われていた銘柄に調整が入った形です。「過熱気味だったAI銘柄に健全な息抜きが入った」との見方が多く、専門家らは現時点では悲観する必要はないと述べています。ただ、各国でAI投資の盛り上がりが続く中、その反動にも注意が必要との声もあります。

https://www.reuters.com/world/asia-pacific/global-markets-ai-selloff-pix-2025-11-05/

⑤ OpenAI、法人顧客が世界で100万社突破

ChatGPTを提供するOpenAI社は、自社の生成AIサービスを有償で利用するビジネス顧客が世界で100万社を超えたと発表しました。この急成長により「OpenAIは史上最も速いスピードで成長するビジネス向けプラットフォームになった」と同社は述べています。対象には企業向け「ChatGPT for Work」利用企業や、OpenAIのAPIを使って自社アプリに組み込んでいる開発者顧客などが含まれます。ChatGPTの個人利用が世界中で広がったことが企業導入の追い風となり、導入試験の短縮や社内展開の円滑化につながっているとのことです。OpenAIによれば現在、週8億人以上のエンドユーザーがChatGPTを利用しており、その結果として有料企業版の席数(ライセンス数)も急拡大しているといいます。

https://www.pymnts.com/artificial-intelligence-2/2025/openai-marks-1-million-business-customer-milestone/

⑥ Microsoft、医療分野から始める「超知能」AIチームを新設

米マイクロソフトは、人間を特定分野で遥かに上回る性能を持つAI、いわゆる「スーパーインテリジェンス(超知能)」の開発を目指す新組織「MAI Superintelligence Team」を立ち上げました。まずは医療診断の領域で人間以上に正確なAIシステムの実現を目指すとされ、同プロジェクトには巨額の投資も予定しています。指揮を執るのはAI分野の著名人であるMustafa Suleyman(ムスタファ・スレイマン)氏で、同氏は「2~3年以内に診断分野のAI超知能を実現できる」と大胆な見通しを語りました。マイクロソフトは既にOpenAIへの出資や自社クラウド上でのAI提供で先行していますが、さらに自社内でも次世代のブレークスルー型AI開発に乗り出す形です。他社では米Meta社が類似の超高性能AI研究組織「Superintelligence Labs」を今年設立するなど、各社が将来の飛躍的AI進化をにらみ投資を競っています。

https://www.reuters.com/technology/microsoft-launches-superintelligence-team-targeting-medical-diagnosis-start-2025-11-06/

⑦ Moonshot AI社「Kimi K2 Thinking」公開

中国・アリババ出資のスタートアップ企業Moonshot AIは、新たなオープンソースの大規模AIモデル「Kimi K2 Thinking(キミ・ケーツー・シンキング)」を公開しました。驚くべきことに、このモデルは第三者機関による各種評価試験で米OpenAIの最新モデルGPT-5やAnthropic社のClaude Sonnet 4.5(クロード・ソネット4.5)を上回る高スコアを記録しています。例えばウェブ検索を伴う推論テスト「BrowseComp」ではKimi K2が60.2%の正答率を示し、GPT-5の54.9%やClaude 4.5の24.1%を凌駕しました。モデルの規模はパラメータ数1兆(ただし推論時に活性化するのは320億程度)とされ、わずか460万ドル程度のコストで学習を完了できたとの報告もあります。Moonshot社はこのモデルを改変・商用利用可能な緩やかなライセンスで公開し、誰でも利用できるAPIやチャットサービスも提供開始しました。米国の巨大クローズドAIに対抗し、中国勢による最先端オープンAIの台頭を示すものとして注目されています。

https://venturebeat.com/ai/moonshots-kimi-k2-thinking-emerges-as-leading-open-source-ai-outperforming

⑧ Google、最新AIチップ「Ironwood TPU」発表

米グーグルは第7世代となるAI専用の半導体チップ「Ironwood TPU(アイアンウッドTPU)」を発表しました。TPU(Tensor Processing Unit)はAI計算に特化したGoogle独自設計のプロセッサーで、新型Ironwoodは前世代(TPU v6e “Trillium”)に比べチップ単体性能が4倍以上、エネルギー効率も飛躍的に向上しています。大規模モデルの学習からリアルタイム推論(ユーザーからの質問に即座に回答を生成する処理)まで幅広いAIワークロードに対応し、ピーク性能はTPU v5p比で10倍とGoogle史上最強のAIチップです。Googleは自社クラウドサービス(Google Cloud)を通じてIronwoodの提供を開始予定で、Anthropic社などパートナー企業が既に試用し高い評価をしているといいます。AI半導体市場ではNVIDIA社が先行していますが、Googleは自社TPU強化でハードウェア面でも独自路線を推進し、AI分野の競争力を高める戦略です。

https://chatgpt.com/c/6911f867-6940-8322-b3c4-3379eb980be6

⑨ NVIDIAの次世代GPU「ブラックウェル」、需要非常に旺盛

AIブームを支える半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の黄仁勲(ジェンスン・フアン)CEOは、同社が来年本格投入する次世代GPU「Blackwell(ブラックウェル)」について「非常に強い需要に直面している」と述べました。台湾・新竹で開催されたイベントで記者団に語ったもので、受注に対応すべく、提携先の台湾TSMC(世界最大の半導体受託生産企業)に対し大規模な生産枠を求めていることも示唆しました(具体的なウェハー供給数は非公開)。ブラックウェル世代のGPUは、現在主力の「H100」後継としてAIモデルの学習・実行性能を飛躍的に高めるとされ、市場では発売前から顧客の予約が殺到しています。またNVIDIAは先月、株式時価総額が一時**5兆ドル(約750兆円)**を超え世界企業のトップに躍り出るなど、AI需要を追い風に空前の業績を上げています。黄CEOは「当社の成功はTSMCの支えなくしては成し得ない」とも語り、引き続き二社で協力して最先端チップ供給に努める姿勢を示しました。

https://www.reuters.com/world/china/nvidia-ceo-huang-sees-strong-demand-blackwell-chips-2025-11-08/

⑩ 製薬業界もAIが主役に

米テキサス州サンアントニオで開幕した製薬科学分野の国際会議「AAPS PharmSci 360」(米国薬剤師会の年次大会)は、今年は人工知能(AI)の活用を中心テーマとして開催されています。大会プログラム委員長のメイ・ハー博士によれば、創薬研究、 galN臨床試験デザイン、製剤開発から製造プロセス管理まで、バイオ医薬品分野のあらゆる領域でAI統合が進んでおり、その「AIの産業全般への浸透」が今年の会議の大きな見どころだといいます。例えば生成AIが新薬候補分子のデザインに用いられたり、機械学習が膨大な臨床データ解析に活躍する事例など、数多くの最新成果が発表される予定です。製薬業界は保守的とも言われますが、ここ数年で急速にデジタルトランスフォーメーションが進み、AIが研究開発効率を高める「必須の道具」となりつつあります。会議では約800件のポスター発表と200件超の講演が行われ、AI技術と医薬品科学の融合によるブレークスルーに注目が集まっています。

https://www.biopharminternational.com/view/2025-pharmsci-360-to-showcase-essential-ai-integration-and-emerging-technologies

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