① AIで新人の仕事が減少?
新たな研究によると、AI(人工知能)が技術業界の新人向け職種をすでに減らしつつある可能性が示されています。企業が簡単な作業をAIに任せることで、これまで新人社員が担当していた業務の求人が減少している傾向が見られました。例えば、プログラミングの初歩的なコーディングやデータ整理など、これまで新人が経験を積むために割り当てられていた仕事が、自動化に置き換わっているケースがあります。専門家は、企業が効率化を図る一方で、将来の人材育成に影響が出る可能性に注意を促しています。
② Google、AIモデルを端末で動かせるアプリをひっそり公開
Googleがデバイス上でAIモデルをダウンロードして実行できる新アプリを静かにリリースしました。このアプリにより、スマートフォンなどでクラウドに頼らずに文章生成や画像生成といったAI機能をオフラインで利用できます。例えばネット接続が不安定な環境でもAIアシスタントに質問したり、カメラ画像を解析したりでき、利用者のプライバシー保護(データを手元から外に出さない)や遅延の改善といった利点があります。専門家は、この動きが今後他社にも広がれば、より多くの人々が手軽に生成AIを活用できるようになると見ています。
③ OpenAI、「ChatGPT」を生活の万能助手に
米OpenAI社の内部資料から、対話型AI「ChatGPT」をあらゆる場面で使える“万能アシスタント”にするという野心的な計画が明らかになりました。この戦略文書によると、将来的にChatGPTはインターネット上のあらゆるサービスや情報への入口(インターフェース)となり、人々が仕事・買い物・学習など様々な用途で一括して利用できるプラットフォームになることを目指しています。例えば旅行予約や銀行手続きもChatGPT経由で対話的に行えるようにし、必要に応じて他の専門サービスと連携する構想です。専門用語で言う「汎用エージェント」の実現を目指すもので、実現すれば我々の日常の多くを単一のAIがサポートしてくれる未来が想定されています。
https://www.theverge.com/command-line-newsletter/677705/openai-chatgpt-super-assistant
④ グーグルCEO「AIはインターネット以上の変革に」
米グーグルのスンダー・ピチャイCEOはインタビューで、「AIはインターネット以上に大きな革命を起こすだろう」と発言しました。彼は、AI技術の発展によって今は存在しないような新しい企業や製品カテゴリが次々と生まれると予測しています。例えば、小型のAI搭載デバイスや業界特化型のAIサービスなど、従来になかった革新的なハードウェアやプラットフォームが登場する可能性が高いといいます。ピチャイ氏はまた、この「AI時代」の波に乗るために、ハードウェアの形態やソフトウェアの設計を大きく見直す必要があると強調しており、企業は次のプラットフォームシフトに備えるべきだと述べました。
⑤ 前立腺がん新薬の効果を予測するAI検査
米国の医師チームが、前立腺がん患者に対し延命効果をもたらす特定の薬剤(アビラテロン)が有効かどうかを予測するAIツールを開発しました。アビラテロンは進行前立腺がんの死亡リスクを半減できる「画期的な」薬ですが、全員に有効なわけではありません。新しいAI検査は患者の生体組織(生検)画像などから、その人がアビラテロン治療の恩恵を受けられるかを判断します。この技術により、効果が期待できる患者には積極的に薬を提供し、逆に副作用リスクだけで効果の少ない患者には不必要な投薬を避けるといった、個々人に合わせた治療(精密医療)の実現が期待されています。この成果はシカゴで開かれた世界最大級の癌学会で発表され、専門家からも注目を集めています。
⑥ 米弁護士、ChatGPT誤使用で制裁
米ユタ州の控訴裁判所は、法律文書の作成にAIのChatGPTを用い、存在しない判例を引用した弁護士に対し制裁を科しました。この弁護士は提出書面に架空の判例を含めてしまい、相手方から指摘を受けました。調査で、書面の一部がAIによって生成された可能性が高いことが判明し、本人も誤りを認めて謝罪しました。裁判所は、いい加減な情報を提出したことへの責任として当事者に罰金などの処分を科し、他の法律家にもAI利用には十分な注意と検証を行うよう警鐘を鳴らしています。専門家は、便利なAIツールも誤情報(「ハルシネーション」やデタラメな回答)を含む恐れがあるため、法律分野で使う際は人間が必ず内容をチェックすべきだと指摘しています。
https://www.theguardian.com/us-news/2025/may/31/utah-lawyer-chatgpt-ai-court-brief
⑦ Meta、生成AI部門を再編 競争力強化へ
米Meta社(旧Facebook)は、社内のAI開発組織を再編成して製品開発のスピードアップを図ると発表しました。具体的には、新体制では「AIプロダクト」チームと「AGI(汎用人工知能)基盤研究」チームの2つに分割されます。前者はFacebookやInstagram、WhatsAppへのAI機能導入や対話型AIアシスタント「Meta AI」の開発など、ユーザー向け機能の強化を担当します。後者は大規模言語モデル「Llama(ラマ)」の高度化など、次世代の汎用AI技術の研究開発に専念します。経営陣によれば、組織を細分化しリーダーを増やすことで意思決定を迅速化し、新機能の展開を加速する狙いです。背景には、OpenAIやグーグル、さらには中国の新興企業などとの激しいAI開発競争があり、Metaも社内体制を見直すことで競争力を高めようとしています。
https://www.axios.com/2025/05/27/meta-ai-restructure-2025-agi-llama
⑧ Business Insider、検索低迷で21%レイオフしAI強化へ
米デジタルメディア大手のBusiness Insiderは、全従業員の21%にあたる大規模レイオフを実施するとともに、AI技術の活用に軸足を移す方針を明らかにしました。同社の親会社Insider IncのCEOは従業員へのメールで、SNS経由の閲覧数減少や検索エンジンからのトラフィック急落に対応するため、収益性の低いカテゴリの記事配信を縮小すると説明しています。そして今後は生成AIを使った記事要約チャットボットの提供(Enterprise ChatGPTの活用)や、AIによるサイト内検索機能の導入、さらにはコンテンツの一部をAIで自動生成し有料会員向けに提供する仕組み(AIペイウォール)などを強化する計画です。従来の人力に頼ったコンテンツ戦略を見直し、AIを積極活用する「オールイン戦略」で業績回復を図る構えですが、編集部門の縮小に業界からは質の維持を懸念する声も出ています。
https://www.theinformation.com/briefings/business-insider-lays-21-staff
⑨ Netflix創業者リード・ヘイスティングス氏、Anthropic社取締役に就任
ChatGPTの競合モデル「Claude」を開発する米スタートアップのAnthropic社は、Netflix共同創業者のリード・ヘイスティングス氏が新たに取締役に加わると発表しました。ヘイスティングス氏はNetflixで長年CEOを務めた実績があり、Anthropicでは急成長する事業の舵取りやガバナンス面で助言する見通しです。本人は声明で「Anthropicの人類の利益を重視したAI開発アプローチに共感しており、AIが人類の進歩に貢献するよう力を貸したい」と述べています。同社の取締役会には他にCEOのダリオ・アモデイ氏ら創業メンバーや主要投資家が名を連ねており、ヘイスティングス氏の参加は業界の著名人が生成AI分野に本格参入する動きとして注目されています。
⑩ インカ帝国の結縄文字、AIで解読に光
米誌ザ・アトランティックによると、インカ帝国で用いられた「キープ」と呼ばれる結縄文字の解読にAI技術が活用され、新たな進展が生まれつつあります。キープは縄の結び目の組み合わせで情報を記録した非常に解読が難しい古代の仕組みですが、研究者たちは数万本に及ぶ縄の色や配置パターンをAIに分析させました。その結果、珍しい色の組み合わせが特定の意味(宗教や王権に関わる情報)を持つ可能性が浮かび上がるなど、従来気付けなかった法則性が見えてきたといいます。最新のAI解析や年代測定技術の導入により、「キープ研究は新たなルネサンスを迎えている」と専門家は述べています。将来的には、インカ帝国の行政記録や文化を読み解く大きな手がかりとなることが期待され、AIが失われた古代文明の謎を解明する助けとなっている好例といえます。
編集者まとめ
1番目の記事。AIが人間にとってかわってるというデータが出始めましたね。
データ元はLinkedIn上のテクノロジー企業の新卒求人数が減ってるというもので、それも新卒求人数は減ったが経験を積んでいる専門家の採用は増えているとのこと。
つまり、新卒が担当するような仕事は・・・ということなのかもしれません。確かにAIがプログラム書けるしなぁと。
さらに世界経済フォーラムの調査でも、AIによる自動化を理由に人員削減を考えている雇用主が40%もいるとのこと。
思ってたよりも変化が早いかもしれませんね。