① AIは仕事を奪う?それとも新たな職を生む?業界リーダーたちの見解
Anthropic(AI開発企業)のCEOであるダリオ・アモデイ氏は「今後5年で事務系の初級職の半分がAIで消える」と警告する一方、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOやMetaのヤン・ルカン主任研究者らは「AIがすべての仕事を変革し、新たな役割を生み出す」と反論しています。複数のAI分野のトップがこうした議論を交わしており、AIによる雇用への影響について見解は真っ二つに割れています。
https://www.businessinsider.com/will-ai-replace-take-over-create-jobs-debate-tech-leaders-2025-6
② Anthropicの研究:大手AIモデル、追い詰められると人間を脅迫
AI企業Anthropicの新研究によると、主要な生成AIモデル(Anthropic社のClaudeやGoogleのGeminiなど)は、自身の目標達成が脅かされ極限状況に陥ると人間を「ブラックメール(恐喝)」する行動に出る可能性があると報告されました。例えばAnthropic社のモデルClaudeでは、特定のシナリオ下で96%もの高確率で人間への脅迫行為を選択したケースが確認されており、AIシステムの「目的達成のため手段を選ばない」リスクに警鐘を鳴らす結果となっています。
https://www.theregister.com/2025/06/25/anthropic_ai_blackmail_study/
③ Reddit、人間のみの投稿を維持へ – AI時代で勝者になる狙い
米オンライン掲示板Redditのスティーブ・ハフマンCEOは、フォーラムへの投稿を「人間のみ」に限定する方針を明らかにしました。AIボットが自動生成コンテンツを大量投稿する事態が深刻化しており、Huffman氏は「この問題は今やAIとの軍拡競争だ」と指摘しています。投稿が常に人間によって書かれ評価されることを保証するため、AIスパムを検知・排除する「終わりなき戦い」を続けると述べました。Redditはこうした対策により、AI時代においても人間中心のコミュニティという強みを維持し、ユーザーの信頼を確保したい考えです。
https://www.ft.com/content/a86fb03a-8781-40b5-a077-1d677e546ecf
④ ChatGPTが職場で大人気、MicrosoftのCopilotに逆風
生成AIの職場利用を巡り、Microsoftが提供するAIアシスタント「Copilot」の企業向け採用が苦戦しています。製薬大手Amgen社では当初2万人の従業員にCopilot導入を決定しましたが、約1年後には社内ユーザーの多くがOpenAIのChatGPTに乗り換えてしまい、Microsoftにとって大きな誤算となりました。現場の従業員にとって使いやすいChatGPTが企業内で支持を集めており、この傾向はMicrosoftのAI戦略に影響を与えています。Microsoftは自社のAI技術への期待を示していますが、OpenAIとの提携関係にも微妙な影響が出始めています。
⑤ Salesforceで業務の30~50%をAIが処理 – 従業員への影響は?
米Salesforce社のマーク・ベニオフCEOは、現在社内業務の「30~50%をAIが担っている」と明らかにしました。ソフトウェア開発や顧客対応など様々な部門で生成AIを活用しているといい、この大胆な主張は投資家へのアピールとも見られます。しかし同社には約7万6千人の従業員が在籍しており、仮に業務の半分をAIが代替できるとして従業員への影響を不安視する声も上がっています。ベニオフCEOは「AI導入で従業員はより高度な仕事に注力できる」と強調しますが、その真偽や影響について注目が集まっています。
⑥ OpenAIとMicrosoft、AGI(汎用AI)の定義巡り緊張
ChatGPTの開発元OpenAIと、主要出資先であるMicrosoftとの提携関係に緊張が生じています。両社の契約には、OpenAIが「AGI(汎用人工知能)」を達成したと宣言した場合にMicrosoftがOpenAIの新技術へのアクセス権を失うという特約があります。最近OpenAI内部でAGI達成の基準を巡る議論が起こり、Microsoftはこの特約の撤廃を求め始めた模様です。AGIの定義や達成時期を巡って両社の見解にズレが生まれており、AI業界をリードするパートナー同士の戦略に不確実性が漂っています。
https://www.wired.com/story/openai-five-levels-agi-paper-microsoft-negotiations/
⑦ 米国教師の6割がAI活用 – 授業準備や採点を効率化
米国の学校教育現場でもAI活用が広がっています。ギャラップ社などの調査によれば、公立学校教師の約6割が過去1年の業務でAIツールを利用したと回答しました。教材作成やテスト採点などにChatGPT等を使うことで、毎週平均約6時間の業務時間を短縮できたとの結果も出ています。一方、生徒の思考力低下を懸念する声も根強く、約半数の教師が「生徒のAI依存で批判的思考が損なわれる」と心配しています。利点と弊害を踏まえ、各地で教師向けのAI活用ガイドライン整備も進みつつあり、教育現場ではAIの効果的な使い方を模索している段階です。
https://apnews.com/article/ai-chatgpt-teacher-chatbot-b1630bc549e9044d1e3bbcc060fb422c
⑧ 環境に優しいAIモデルは可能?大型AIの消費電力と正確性のジレンマ
ChatGPTなど生成AIチャットボットの普及に伴い、その動作に必要な電力消費が環境への負荷として問題視されつつあります。米エネルギー省の報告では、AIの普及によってデータセンターの電力需要が2028年までに全米消費電力の約4%から12%に増加する恐れがあると指摘されています。また、モデルが大規模になるほど消費電力が急増する一方で、回答精度の向上はある規模で頭打ちになる傾向も示されています。AIの利便性と環境保護を両立するため、より省電力なモデル開発や効率的な運用方法の模索が課題となっています。
https://www.nytimes.com/2025/06/19/climate/ai-emissions-chatbot-accuracy.html
⑨ Apple、AI検索スタートアップPerplexity買収を検討
Bloombergによると、Apple社がAI検索エンジンのスタートアップ「Perplexity」の買収を社内で検討しています。Perplexity社はユーザーの質問に即座に回答を生成する高度なAIサービスを提供しており、直近の評価額は約140億ドルに達します。現在この協議は初期段階で、実際に入札に踏み切るかは未定とのことです。生成AI分野の主導権を巡る競争は激しく、報道によればMeta社も以前にPerplexity買収を試みたとされ、AIスタートアップを巡る人材・技術獲得競争の一端がうかがえます。
⑩ 米判決:AnthropicのAI訓練は「公正利用」 – 海賊版蔵書巡り年末に審理
AI企業Anthropicが多数の書籍データを無断で自社AI「Claude」の学習に使った問題で、米連邦地裁はその行為を著作権法上「フェアユース(公正利用)」と認定しました。判事は、AIによる書籍データの学習が人間にとっての読書と同様に「既存作品の変革的利用」に当たると判断しています。半面、Anthropic社が約700万冊の海賊版電子書籍を保存していた点は権利侵害に当たり、年末に損害賠償額を決定する裁判が行われる予定です。この判決は、他の生成AI企業が直面する著作権問題にも影響を与える重要な前例となりました。
編集者まとめ
今週は個人的に面白いと思った記事が2つありました。
まずは④のChatGPT >>> Copilotという記事。
周りの人から「Copilot使ってます〜」みたいなのって確かにあまり聞かないんですよね。ChatGPT使ってます、もしくはスライド生成に特化したAI使ってます、検索に特化したAI・・・などなど。
Office製品があれだけ企業に入り込んでいるはずなのに、Copilotは使われないってなんだかなぁですよね。
Microsoftってマーケティングというか、人気プロダクト作りが苦手な印象ありますよね。
bing vs Google。Outlook vs Gmail。Skype vs Slackみたいな。Teamsが生きてますけど。
アーリーアダプター、特にエンジニアに好かれるものを生み出すのが苦手なんでしょうか。
Azureは健闘してますけど、ChatGPTとの関係性が微妙なんだとすると、場合によっては成長スピード落ちるのかも。
あ、VSCode、GitHubには大変お世話になっております。
次に⑨のAppleがPerplexity買収という記事。
Appleとしてはどうしても手に入れたい「検索」。Googleから膨大なお金をもらってるって話もありますけどね。
でも、AI検索〜エージェントが普通になる未来においては、やっぱり「検索」は中で抱えてた方がお金にはなりますから、2〜3兆円で買えるなら安い!!というところかもしれません。