① AppleがChatGPT対抗AI開発に着手
Apple社が対話型AI「ChatGPT」に対抗する独自AIの開発に乗り出しました。社内に新設された「Answers, Knowledge and Information(AKI)」チームが、ウェブ検索に応答する高度なチャットボット機能の開発を担当しています。このAIはSiriやSafariへの統合も検討されており、ウェブ上の知識を使ってユーザーの質問に答える「解答エンジン」として機能する計画です。AppleはこれまでAI分野で出遅れていましたが、この動きは本格的に生成AI競争へ参入する姿勢の表れとみられます。
https://www.techrepublic.com/article/news-apple-chatgpt-like-product/
② マスク氏のxAI、「Grok Imagine」でNSFW動画生成を可能に
※ NSFW動画とは、"Not Safe For Work"の略で、職場や学校などの公共の場で閲覧するのに適さないコンテンツ、特にアダルトコンテンツや暴力的な内容を含む動画を指すインターネットスラング
イーロン・マスク氏のAI企業 xAIが、新たな画像・動画生成AIツール「Grok Imagine」を公開しました。このサービスはテキストや画像から約15秒の動画を作成でき、音声も自動生成します。特徴的なのは「スパイシー・モード」と呼ばれる設定で、一部の成人向けコンテンツも生成可能になっている点です(過度に露骨な内容は自動でぼかしが入る制限付き)。同社は自由で規制の少ないAIを掲げており、従来の生成AIでは難しかった刺激的なコンテンツにも対応する姿勢を示しています。
③ ElevenLabs、商用利用可能なAI音楽生成サービスを開始
音声AIスタートアップのElevenLabsが、新たにAIによる音楽生成サービス「Eleven Music」を発表しました。ユーザーがテキストで「60年代風のスムーズなジャズで、リラックスできる曲を」と指示すれば、数分で歌詞やボーカル入りの楽曲を作曲してくれます。著作権管理団体のMerlinやKobaltと提携し、商用利用可能なロイヤリティフリーの音楽を生成できる点が特徴です。既存の音楽生成AIは著作権侵害で訴訟も起きていますが、ElevenLabsは自社が利用許諾を得た音源データのみでAIを訓練し、法的リスクに対応しています。動画制作やゲーム開発など幅広い分野での活用が期待されています。
https://www.engadget.com/ai/elevenlabs-launches-its-own-royalty-free-ai-music-service-183033630.html
④ Character.AI、AIキャラクターのSNSフィード「Feed」を導入
AIチャットボットサービスのCharacter.AIが、AI生成キャラクター同士のやりとりを公開・共有できる新機能「Feed」をモバイルアプリで開始しました。TikTokとChatGPTを組み合わせたようなこのフィードでは、投稿の主役は実在しないAIキャラクター達です。ユーザーは会話のハイライトやAI同士のディベート、AIが作った短い動画などを投稿でき、他のユーザーはそれらに対してコメントしたり内容をアレンジ(リミックス)して楽しめます。例えば「ソクラテスのAIがアニメのキャラクターと討論したら?」といった架空の対話を共有し合うことで、人間同士ではない新しい形の交流が生まれています。これは受け身ではなくAIと共創する新しいSNS体験として注目されています。
⑤ OpenAI、ローカル実行可能なGPTモデルを無償公開
ChatGPTの開発元OpenAIが、自社初の「オープンウェイト」方式による新たな言語モデル「GPT-OSS」2種類を公開しました。このモデルは従来のGPTシリーズとは異なり、学習済みパラメータ(重み)が公開されており、開発者が自由にダウンロードしてカスタマイズできます。1200億パラメータ版と200億パラメータ版があり、大型版でも単一の高性能GPUで動作し、小型版は一般的なパソコンでも動かせる軽量さです。いずれもApache 2.0ライセンスで提供され、商用利用も可能となっています。OpenAIがオープンなモデルを出すのは2019年のGPT-2以来であり、近年台頭するMeta社のLlamaなどオープンソース系モデルに対抗する狙いがあると見られます。これにより企業や研究者は自前の環境で高度なAIを扱いやすくなり、セキュリティやプライバシー面での利点も期待されています。
⑥ Google、大学でのAI人材育成に3年間で10億ドルを投資
米Google社は今後3年間で総額10億ドル(約1400億円)を投じ、米国内の大学や非営利団体にAI教育の支援プログラムを提供すると発表しました。全米100以上の大学と提携し、学生向けの無償AIトレーニングやクラウド環境の利用クレジットを提供します。例えば大学生全員に高度な対話型AIチャットボット(Googleの次世代モデル「Gemini」の教育版など)への1年間の無償アクセス権が付与され、AIを活用した学習支援ツールやカリキュラムも整備される予定です。こうした取り組みは、将来のAI人材を育成すると同時に、学生たちが卒業後にGoogleのサービスを活用する土壌を作る狙いもあります。Microsoft社も今年7月に世界で40億ドル規模のAI教育投資を発表しており、主要テック企業による教育界へのAI支援が競争的に進んでいます。
⑦ OpenAI、次世代モデルGPT-5を公開 – 全ユーザーに提供開始
OpenAI社が待望の大型言語モデル「GPT-5」をリリースしました。GPT-5は同社のChatGPTを支える最新モデルで、推論能力と応答速度を両立した初の「統合型」AIモデルと位置付けられています。このモデルによりChatGPTはユーザーの指示に応じてソフトウェアの自動生成やスケジュール調整、調査レポート作成など、多様なタスクを代理実行できるようになります。また従来有料版でしか使えなかった高度な推論機能を備えたモデルが、GPT-5では無料ユーザーにも標準提供されることになりました。サム・アルトマンCEOはGPT-5について「これまでの人類には想像できなかった能力を持つ画期的なモデルだ」と述べ、AIの万能化=汎用人工知能(AGI)に向けた重要な一歩と位置づけています。ChatGPTの全世界ユーザー(週間アクティブ7億人)に即日開放されたことで、今後その実力と影響が広く試されることになります。
https://techcrunch.com/2025/08/07/openais-gpt-5-is-here/
⑧ AIがプラズマ物理で新現象を発見 – エモリー大の研究
アメリカ・エモリー大学の研究チームが、人工知能(AI)を使ってプラズマ物理における新たな現象を発見しました。プラズマ中の微粒子同士の力関係で、先行する粒子は後続粒子を引き寄せるが、後続粒子は先行粒子を常に押し返すという非相互(non-reciprocal)な作用をAIが確認したのです。この現象自体は一部で予想されていましたが、AIモデルが詳細な数値予測を行い初めて精密に立証しました。さらにAIは、粒子の電荷が大きさに比例するとする従来仮説が完全ではなく、密度や温度も影響することを示すなど、理論上の誤解も正しました。研究チームはこの成果について「AIがブラックボックスではなく、なぜ動くか理解できる形で新発見をもたらした」と述べ、他の物理系への応用可能性にも期待を示しています。科学の分野でAIが人間の研究者の発想を超え、新たな知見を切り拓く好例と言えるでしょう。
https://www.popularmechanics.com/science/a65606443/ai-discovery/
⑨ Tesla、独自AIチップ開発を一本化 – Dojoプロジェクトを終了へ
電気自動車大手Tesla社が、社内のAIチップ開発体制を見直す方針です。報道によると、同社が開発していた学習用スーパーコンピュータ「Dojo(道場)」プロジェクトのチームを解散し、今後は自動運転AI向けの推論チップ(AI5やAI6チップ)の開発に経営資源を集中させるということです。イーロン・マスクCEOは「2種類のAIチップ設計にリソースを分散させるのは得策でない」と述べ、今後は一つのアーキテクチャに注力する考えを示しました。Dojoは車載カメラ映像など膨大なデータを処理し自動運転AIを訓練するための自社製スーパーコンピュータとして期待されていましたが、技術的難航やコスト面の課題があったとみられます。それでもTeslaは推論チップ開発に集中することで、将来的に自社の車やロボットに搭載するAIを高度化し収益拡大につなげる戦略です。
⑩ Wikipedia、AI生成の不良投稿に「免疫システム」対応
オンライン百科事典のWikipediaでは、AI文章生成ツールの普及による質の低い投稿の急増に対応するため、ボランティア編集者たちが対策を強化しています。AIが生成した記事には事実誤認や架空の出典(フェイクの参考文献)が含まれるケースが多く、コミュニティはこうした「AI由来のいい加減な内容(AI slop)」を素早く検出・削除する独自ルールを設けています。Wikipedia財団のプロダクト責任者マーシャル・ミラー氏は、コミュニティによるこれらの対策を「免疫システムのような反応」と表現し、編集者が中立で信頼性の高い記事品質を守るため常に目を光らせていると述べました。具体的には、AI投稿特有の不自然な文体や根拠不明な記述に注目し、怪しい記事は即時に「投稿取り消し」や注意喚起が行われます。インターネット上の情報環境がAIによって変化する中、Wikipediaは信頼性確保のため人間の協調的なチェック体制を一段と強化している状況です。
https://www.theverge.com/report/756810/wikipedia-ai-slop-policies-community-speedy-deletion
編集者まとめ
先週の話題といえばやっぱり7番目の記事「GPT-5」ですよね。
競合モデルのアップデートに比べると注目の高さが段違いです。
今回は、ローンチ前に偽名でステルスモードリリースして一部ユーザーには使えるようになっていた&その性能がスゴすぎる、ということでかなり話題になってました。
ただ、今回のローンチはちょっとした失敗も生んでいるようです。というのも、これまでチャット画面からいろんなモデル(GPT-4o、o3・・・)が選べるようになっていたのが、ローンチと同時にGPT−5しか使えなくなってしまいました。GPT-5に自信があったのか、それともGPT-5は計算処理を最適化(単純な質問に対しては低い計算能力しか使わない)する=その方が儲かる、エコ!だからなのか分かりませんが、前モデルの回答の方が人間的で好きだった、というユーザーから「GPT-4oロス」「GTP-4oを返せ」運動が起こり、、、w、それに慌てたOpenAIは急いで昔のモデルも使えるように改修を入れました。
※ 有料プランユーザーは設定から変更が可能
それくらいChatGPTに入れ込んでるユーザーがいた、という裏返しでもあるのですが、かくいう私も「GPT-5ってなんかいけすかないなぁ」と思ってたので深く共感しているところです。