海外のAIニュースまとめ(9/29〜10/5)

atmaLab編集者
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October 6, 2025
海外のAIニュースまとめ(9/29〜10/5)
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① Anthropic社の新AIモデル「Claude 4.5(Sonnet)」登場

Anthropic社が最新のAIモデルClaude 4.5(コードネーム「Sonnet 4.5」)を発表しました。このモデルは長時間のコーディングを自律的に行える高性能さが特徴で、金融分析や科学計算など専門的な推論能力も強化されています。AlphabetやAmazonから支援を受けるAnthropic社は、競合他社に負けない信頼性を持つAIエージェント構築を目指しており、実際の内部テストでは30時間連続でコードを書き続けた例も報告されました。同日、Microsoft社はAnthropicのモデルをMicrosoft 365 Copilotに組み込む方針も発表しており、Claude 4.5は企業の業務支援への活用が期待されています。

https://www.reuters.com/business/retail-consumer/anthropic-launches-claude-45-touts-better-abilities-targets-business-customers-2025-09-29/

② OpenAI、AI動画アプリ「Sora」をリリース

OpenAIが画像生成に続き、短編AI動画を作って共有できる新アプリ「Sora」と、その生成AIモデル「Sora 2」を発表しました。TikTokのようにユーザーが10秒程度のAI動画クリップを投稿・閲覧できるソーシャルアプリで、ユーザー自身や友人の姿を取り込んだ合成動画も作成可能です。新モデルSora 2では物体の形状変化や物理法則の無視といったこれまでの課題を改善し、例えばバスケットボールが外れた場合はしっかりリバウンドするなど、より現実的な動画生成ができるようになりました。また、自分の容姿・声を一度登録すればAI動画内に本人が登場する「カメオ」機能も実装されています。Soraアプリは当初招待制で米国とカナダで提供され、他地域へも順次拡大予定です。

https://techcrunch.com/2025/09/30/openai-is-launching-the-sora-app-its-own-tiktok-competitor-alongside-the-sora-2-model/

③ Amazon、Alexaを強化した新Echoデバイス群を発表

Amazonは年次イベントで多数の新製品を発表し、AI音声アシスタント「Alexa」の大規模アップグレード版となる Alexa+ を搭載した新Echoスピーカーやスマートディスプレイ、Kindle端末などを披露しました。Echo DotやEcho Showなど4種類のEchoデバイスが刷新され、より高級感のあるデザインと自社開発の高性能チップを搭載しています。最大の特徴は高度化したAlexa+が標準搭載されている点で、ユーザーはこれまで以上に自然な対話や複雑な依頼への対応が可能になります。例えばスピーカーに話しかけて映画の特定のシーンを探したり、画面上の出演俳優の経歴を質問するといった高度な操作も音声だけで実現でき、Alexaがまさに家庭内の頼れるAI秘書のように進化しました。Amazonは長年赤字だったAlexa事業を、このAI強化で収益化につなげたい考えです。

https://www.theverge.com/news/786216/amazon-september-2025-hardware-event-news-announcements

④ 元OpenAI研究者の新興企業、3億ドルの資金調達

OpenAIやDeepMindで要職を務めた研究者たちが設立したスタートアップ Periodic Labs が、シードラウンドで驚異の3億ドル(約450億円)を調達しました。Andreessen Horowitz(a16z)を筆頭に、DST GlobalやNVIDIA、Accelといった大手や、エリック・シュミット氏(元Google会長)、ジェフ・ベゾス氏(Amazon創業者)など著名投資家が名を連ねています。Periodic Labsは「AI科学者」とも呼ばれる自律実験システムの開発を目指しており、ロボットが実験を繰り返しながら新素材などを発見する「自動化された研究所」を構築する計画です。同社の創業者は、OpenAIでChatGPT開発を率いたリーアム・フィーダス氏や、DeepMindで200万種の新結晶を発見したプロジェクトを主導したエキン・チュブク氏らで、まさにAI研究のトップ人材が集結しています。巨額の資金を武器に、科学分野におけるAI活用の最前線を切り拓こうとしています。

https://techcrunch.com/2025/09/30/former-openai-and-deepmind-researchers-raise-whopping-300m-seed-to-automate-science/

⑤ Google、次世代AI「Gemini」対応の新Nestカメラを発売

Googleはスマートホーム分野で、自社の次世代AIモデル Gemini を活用した新製品を発表しました。屋内外対応の新しい有線式Nestカメラ3モデルとビデオドアベルを投入し、家庭向けAIサービス「Gemini for Home」と連携させています。これら新型NestデバイスはGeminiを活用した高度な映像解析機能を備え、撮影した映像から人物や物体をより賢く認識したり、ユーザーの音声対話でカメラ映像を検索するといったことが可能になりました。また、新しいGoogle HomeアプリではAIによる映像履歴検索や通知機能が強化され、常時オンデバイスAIとクラウドAIを組み合わせてスマートホーム体験を向上させています。GoogleはこのようにハードウェアとAIサービスを統合する戦略で、AmazonやAppleに対抗しつつ、家庭内へのAI普及を進めています。

https://www.theverge.com/news/789412/new-nest-cams-nest-doorbell-launch-price-specs-release-date

⑥ Stellantis、仏Mistral社とAI戦略提携を拡大

欧米自動車大手のStellantis(プジョー・フィアットなど14ブランドを傘下に持つ)が、フランスの人工知能企業Mistral AIとの提携強化を発表しました。両社は過去18ヶ月間にわたり生成AIの試行導入で協業してきましたが、この度パイロット段階から全社的な展開へ踏み出します。具体的には、イタリアのテックイベントで「Innovation Lab(革新ラボ)」と「Transformation Academy(変革アカデミー)」という新プラットフォームを立ち上げ、販売・アフターサービスから製造までの幅広い領域で生成AIを活用する計画です。AIにより顧客対応の効率化やビジネス全般の生産性向上を図る狙いで、Stellantisはこの提携で欧州メーカーとしての競争力強化を目指しています。Mistral側にとっても、自動車という巨大産業でのAI活用実績を築く機会となっています。

https://www.reuters.com/technology/carmaker-stellantis-mistral-ai-expand-partnership-ai-adoption-push-2025-10-01/

⑦ 元OpenAI幹部らの新スタートアップ、AIモデル微調整サービス開始

OpenAIでCTOを務め、一時CEO代行も経験したミラ・ムラティ氏らが設立したスタートアップ Thinking Machines Lab が、初の製品となるAI開発ツール「Tinker(ティンカー)」を公開しました。Tinkerは最先端の大規模AIモデル(フロンティアモデル)を企業や研究者が用途に合わせて微調整(ファインチューニング)できるサービスで、プログラミング知識が乏しくても数行のコードでモデルの再学習を行えます。オープンソースのMeta社Llamaや中国・Alibaba社のQwenといったモデルに対応し、強化学習を含む高度な調整も自動化されているのが特徴です。Thinking Machines Labは今年7月に20億ドルという巨額の資金調達を行い評価額120億ドルに達した注目企業で、ChatGPT開発にも携わったジョン・シュルマン氏などOpenAIの元主要メンバーが多数参画しています。Tinkerの提供開始で、より多くの企業や開発者が自社専用の高度AIを手軽に作り出せる時代が近づいています。

https://www.wired.com/story/thinking-machines-lab-first-product-fine-tune/

⑧ 「AIによる雇用破壊はまだ起きていない」米調査報告

AIが人間の仕事を奪うのではという不安に対し、米イェール大学の研究チームが興味深い報告を発表しました。それによると、ChatGPTが公開された2022年末以降、米国の職業構成に「目に見える変化や混乱は確認されなかった」というのです。第二次世界大戦後の1940-50年代に比べれば、近年の職業構成の変化は緩やかであり、AIによる労働市場への影響も数十年単位で現れる可能性が高いと分析しています。Generative AI(生成AI)が文章作成などで登場して3年足らずですが、現時点で大規模な失業にはつながっていないと研究者らは結論づけました。Anthropic社CEOの「今後5年で新人の半数が職を失う恐れがある」といった警告も紹介しつつ、今のところAIの労働市場への影響は「安定」であり「大きな破壊は起きていない」としています。この報告は、AI導入に過度な悲観や楽観をせず、長期的視野で備える必要性を示していると言えます。

https://www.theguardian.com/technology/2025/oct/01/us-jobs-market-yet-to-be-seriously-disrupted-by-ai-yale-study-chatgpt

⑨ AI生成の「女優」にハリウッドが猛反発

映画産業でもAIの波が押し寄せています。オランダの制作スタジオが生み出したAI生成の“仮想女優” ティリー・ノーウッド が9月末、チューリッヒ映画祭の関連イベントでお披露目されました。しかし「人間の俳優を置き換えるものだ」としてハリウッドの俳優組合SAG-AFTRAが即座に反発し、「創造性は人間中心であるべきで、シンセティック(人工)の俳優による代替には反対する」と強い声明を出しています。ティリーは実在の人物には似ていない架空の新人女優という設定ですが、芸能事務所が興味を示しているとの制作側の発言に対し、ストライキ中の俳優らからは「ティリー・ノーウッドは俳優ではなく大量の過去作品から無断で学習したコンピュータ生成物にすぎない」との批判が噴出。SNS上のティリー本人のアカウントには3万人以上のフォロワーが付き「とてもリアルな感情を感じて興奮しているわ!」といった投稿もされていますが、業界団体は権利や補償なしに過去の俳優の演技データを使うことへの懸念を表明しています。人間の創造性とAIの線引きについて、現場から問題提起する出来事となりました。

https://apnews.com/article/tilly-norwood-ai-actor-0fe7dd79a11f77870f4aadd1f5d45887

⑩ 中国AI企業トップ「2030年ASI実現しても一部のみ」

中国で注目されるAIスタートアップのCEOが、超知能(ASI)の到来について興味深い見解を示しました。Zhipu AI(智譜AI)という清華大学発の新興企業を率いる張鵬CEOは、「たとえ2030年頃までにASIが登場しても、人間の知能を全ての面で上回ることはなく、いくつかの側面で超えるにとどまるだろう」と語りました。米OpenAIのアルトマンCEOが「2030年までにASIが出現し得る」と予測する中、中国側はその定義の曖昧さも指摘しつつ慎重な見方を示した形です。張CEOは同発言を北京で開催した自社の次世代AIモデル GLM-4.6 の発表イベントで行いました。Zhipu社は今年、中国製AIの海外展開を政府が後押しする中で急成長し、2025年4月には国内市場での株式上場も視野に入れた書類を提出しています。現在はOpenAIやGoogleのような米大手と直接競争する段階ではないものの、企業向けサービスや開発者向け課金モデルで存在感を高めており、中国発AIとして脚光を浴びています。世界的なAI開発競争の中で、中国トップ企業の慎重な姿勢は、安全性や現実性を重視するアプローチとも言えそうです。

https://www.reuters.com/business/autos-transportation/chinas-zhipu-ai-says-full-artificial-superintelligence-unlikely-by-2030-2025-09-30/

‍編集者まとめ

今週は面白い記事が多かったですね。

まずはなんといっても2記事目の「Sora」by Open AIでしょう。
AI動画にフューチャーしたSNS、という立て付けなわけですが、果たして流行るのか・・・笑
招待をいただいたので時々見てますが、上がっている動画はまだまだ玉石混交状態で良くわからない(ぜんぜん面白くない)状況です。
アニメ系も多いですかね。
引き続き注視していきたいところです。

次に、5記事目のGoogleのホームカメラ?というんですかね?、デバイスが面白いです。
元からGoogle Homeという、タブレットやカメラを使ってスマートホームを実現することはやっていたんですが、今回のカメラは広角化+処理機能のアップが行われたことで、これまでにはできなかった「人が通った」「荷物が置かれた」みたいなことが感知できるようになったそうです。

AI戦争で、今はChatGPT(OpenAI)が覇権を握っている感じなのですが、android(スマホ)を持っている=ありとあらゆる個人情報を持っているGoogleがいつか旋風を巻き起こすというのは前から感じていて、今回の新しいカメラの登場は「家の中の情報も集めちゃいますよ」というGoogleの姿勢なわけで、やっぱりGoogleだけが見ている方向が違う。というかGoogleらしい攻め方だなと感心しておるところです。

最後に。
一番最後の記事のASI(超知能)について簡単に解説です。
ASIというのは、「Artificial Superintelligence(超知能)」の略語でして、人間の知能を超えるAI。ということになります。

近い言葉として、AGIという言葉がありますが、こちらは「Artificial General Intelligence(汎用人工知能)」の略語で、「人間のように振る舞えるAI」になります。

つまり、ASIの方が強い。ということなので、この2つの違いを覚えておくと今後のニュースを見るときなんかにも役立つと思います。

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