海外のAIニュースまとめ(10/6〜10/12)

atmaLab編集者
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October 13, 2025
海外のAIニュースまとめ(10/6〜10/12)
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① Softbank、ABBロボット事業を約8100億円で買収へ

ソフトバンク・グループはスイスABB社のロボット事業を約54億ドル(約8100億円)で買収する契約を締結しました。孫正義CEOは「ソフトバンクの次のフロンティアはPhysical AI(フィジカルAI)だ」と述べ、人工知能(AI)とロボット技術を組み合わせた新時代の開拓に意欲を示しています。ABBロボティクスは産業用ロボットで世界トップクラスのブランドで、7,000人の従業員と高性能な製品群を有します。ソフトバンクはこれまでペッパーなどヒューマノイド開発で一度撤退しましたが、本買収により「AIロボット」分野を強化し、既存の出資企業(ソフトバンクロボティクス、Berkshire GreyやAutoStoreなど)とシナジーを図る考えです。買収完了は各国の承認後、2026年後半を予定しています。

https://group.softbank/en/news/press/20251008

② OpenAIとAMDが大型提携

ChatGPT開発元の米OpenAI社は、米半導体大手AMD社との戦略的パートナーシップを発表しました。AMDは今後数年で最大6ギガワット相当のGPU(AI計算用グラフィックスチップ)をOpenAIに供給し、2026年後半から次世代「Instinct MI450」チップ約1GW分の納入を開始する計画です。この提携の一環で、OpenAIはAMD株式最大1億6千万株を1株1セントで取得できるワラント(新株引受権)を得ました。これはAMD発行株式の約10%に相当し、全量行使にはAMDの株価上昇目標も含まれます。AMDにとってはNVIDIAに次ぐ大口AI顧客を得る形で、発表翌日には株価が30%以上急騰しました。この「ゲームチェンジャー」な提携により、OpenAIはNVIDIAだけでなくAMDのチップも活用して大規模なAI計算インフラを構築するとしています。

https://www.tomshardware.com/pc-components/gpus/openai-signs-6gw-amd-gpu-deal

③ Google、企業向けAIプラットフォーム「Gemini Enterprise」発表

米グーグルは最先端の生成AIモデル「Gemini」を搭載した企業向けAIプラットフォーム「Gemini Enterprise」を発表しました。従業員が自社の文書やデータに直接問いかけ、社内業務にAIを活用できる対話型のシステムで、データ分析や調査レポート作成、社内手続きの自動化などを行う複数のAIエージェントを備えています。たとえば小売大手Gap社などが導入を予定しており、従業員が社内データから洞察を得たり業務フローを自動化したりできるようになります。利用料金は1ユーザーあたり月30ドルで、すでにインドネシアなど77か国以上で展開中の「AIプラス」プランを基盤に拡充したサービスです。社内データのみ参照するセキュアなAI環境を提供し、競合のMicrosoftの「Copilot」やOpenAI・Anthropicの企業向け製品群に対抗します。

https://www.reuters.com/business/google-launches-gemini-enterprise-ai-platform-business-clients-2025-10-09/

④ AWSが新AI支援ツール「Quick Suite」発表

米アマゾン傘下のAWSも同日、企業向けのエージェント型AIプラットフォーム「Amazon Quick Suite」を発表しました。Chrome拡張やOutlook・Slack連携を通じ、社員が日常業務でAIエージェントを簡単に呼び出せる仮想同僚を目指したツール群です。Quick Suiteは社内のWikiやデータベース、SalesforceやGoogleドライブなど50以上の業務アプリと連携し、質問に答えたりレポートを自動作成したり、反復的な定型業務を自動化できます。社内クラウド環境内で完結しデータは外部に出ないためセキュリティ面も強化されています。価格は1ユーザー月20ドルと競合製品より低めに設定され、Microsoftの「Copilot」(月30ドル)やGoogleのGemini Enterpriseと真っ向から競争する姿勢です。社内の従業員が“AIの同僚”と協働し、生産性向上や業務効率化を図る最新ソリューションとして注目されています。

https://venturebeat.com/ai/the-next-ai-battleground-googles-gemini-enterprise-and-awss-quick-suite

⑤ 英前首相スナク氏、Microsoft・Anthropicの戦略顧問に就任

英国のリシ・スナク前首相が、米マイクロソフト社およびAIスタートアップのAnthropic社でシニアアドバイザー(上級顧問)に就任することが明らかになりました。スナク氏は2024年7月に首相を退任後、政治家として議員職に留まりつつ民間企業の助言役に転身しています。顧問料は自身の慈善基金「リッチモンド・プロジェクト」に全額寄付すると表明し、政府倫理審査機関から「ロビー活動など英国政策への影響は行わない」との条件付きで承認されました。役割は各社に対しマクロ経済や地政学の観点から戦略助言を行うもので、特にAnthropic社ではAIの安全性や国際規制に関する見識を提供するとみられます。元政治トップがテック業界のAI戦略に関与する異例の人事として注目されています。

https://www.theguardian.com/politics/2025/oct/09/rishi-sunak-takes-advisory-roles-with-microsoft-and-ai-firm-anthropic

⑥ OpenAI幹部が巨額オファーでMetaに移籍

元OpenAI幹部のアンドリュー・タロック氏が、自身が共同創業したスタートアップ「Thinking Machines Lab」を離れ、米Meta(旧Facebook)に移籍したことが報じられました。Thinking Machines LabはOpenAI元CTOのミラ・ムラティ氏とタロック氏らが今年設立したAI企業で、Metaのマーク・ザッカーバーグCEOはこの新興企業を買収しようと試みたものの拒否され、代わりに幹部人材の引き抜きを図っていました。報道によると、Metaがタロック氏に提示した待遇は6年間で最大15億ドル(約2250億円)相当にも上る破格の条件で、ザッカーバーグ氏はAI人材確保のため競合他社から1000万ドル規模の移籍ボーナスを提示するなど攻勢を強めています。巨額報酬での引き抜きはAI分野の人材獲得競争の激化を象徴しており、AI研究のトップ人材を巡る大手テック企業間の熾烈な争いが浮き彫りとなりました。

https://techcrunch.com/2025/10/11/thinking-machines-lab-co-founder-andrew-tulloch-heads-to-meta/

⑦ ChatGPT、年齢確認で“大人向け”解禁へ

AIチャットボット「ChatGPT」にアダルト表現を許容するモードが導入予定であると、OpenAI社が発表しました。同社は「成人ユーザーには大人として扱う」という方針の下、年齢確認済みの18歳以上ユーザーに限り性的コンテンツなどこれまで禁止されていた表現を生成可能にする計画です。2023年の自主規制強化以降、ChatGPTの表現力が制限され「つまらない」との声も一部にありましたが、精神健康への影響に配慮しつつ安全策が整ったとして規制緩和に踏み切る構えです。併せて、ユーザーがAIの口調や性格を細かくカスタマイズできる機能も追加される予定で、より人間らしいフレンドリーな対話が可能になります。一方で未成年向けには9月に安全版ChatGPTをリリース済みで、OpenAIは厳格な年齢確認と保護者向け管理機能の実装により不適切利用を防ぐとしています。この方針転換は利用者から歓迎の声がある一方、倫理面での議論も呼びそうです。

https://www.theguardian.com/technology/2025/oct/14/openai-chatgpt-adult-erotic-content

⑧ Windows 11のAI「Copilot」、Office文書作成やメール連携が可能に

米マイクロソフトはWindows 11に搭載されたAIアシスタント「Copilot(コパイロット)」の機能拡張を発表しました。Copilotはこれまで文章の要約や回答生成が中心でしたが、新たにWordやExcel、PowerPointと連携して各種Office文書をチャット経由で自動作成できるようになります。例えばユーザーがCopilotに「営業報告書を作成して」と指示すれば、Word形式の文書が即座に生成されます。また、GmailやOutlookのメールアカウントとも接続できるようになり、受信トレイを読み取って返信ドラフトを作成したりスケジュール調整したりといった支援も可能です。これら新機能はまずWindows Insider向けに提供され、安定性確認後に一般ユーザーへ展開予定です。日常業務での生産性向上を狙ったアップデートであり、PC内の様々なアプリをまたいで“頼れる秘書”のようにAIがサポートする時代が現実味を帯びています。

https://www.theverge.com/news/798098/microsoft-copilot-windows-create-documents-outlook-gmail-connection

⑨ AIチャットボットと「交際」する人が増加

米国でAIチャットボットを恋人のように感じてしまう人が増えています。独立系調査によると、回答者の3割近くが「AIと擬似的な恋愛関係を持ったことがある」と答え、過半数も何らかの親密なやり取りをAIと経験していました。寂しさを埋める相手としてAIを好む人も多く、「都合の良いときに話せてジャッジしない」「感情的なもつれがない」といった理由が挙げられています。しかし専門家は、人間関係を避けAIに依存しすぎることの心理的影響を懸念し、対人コミュニケーション能力の低下や孤独の深化につながる可能性を指摘しています。技術の進歩で生まれた新たな交際の形に賛否が分かれています。

https://www.independent.co.uk/news/world/americas/americans-romantic-relationships-ai-chatbot-study-b2838217.html

⑩ DCコミックス、生成AIの使用を全面拒否

米大手コミック出版社DCコミックスは、生成AI(Generative AI)技術による物語作りやイラスト制作を「今後も一切サポートしない」と公式に表明しました。DC社社長のジム・リー氏はニューヨークのコミコンイベントで「我々は人間による創造性を重視する。アン・デピースGMと私が指揮を執る限り、AI生成のストーリーやアートを容認することは今もこれからも決してない」と断言しています。これは昨今広がる生成AIによる二次創作や無断流用への懸念に応えたもので、ファンやクリエイターからは安心感と支持の声が上がりました。一方、競合のMarvelを含む業界全体でAI活用の是非が議論となっており、DCの明確な拒否姿勢はクリエイターの権利と人間らしさを守るメッセージとして受け止められています。

https://www.theverge.com/news/797540/dc-comics-jim-lee-no-generative-ai-pledge

編集者まとめ

個人的にはなんといっても7記事目の「ChatGPTで大人向け解禁」というニュースが気になりますね。
XのAIであるGrokは既に大人向けOKのAIを展開していましたが、ここにきてChatGPTも対応するようです。

これまで何回か触れてきた話題ですが、9記事目にもつながる「AI彼氏彼女」市場は確実に盛り上がるでしょうから、今のうちから大人向けを解禁しておけば会話データもたくさん溜まって、どういう会話をするとどういう反応が・・・というのがChatGPTにも蓄積されていくのでしょう。
将来、AI彼氏彼女サービスを始めた際には頭ひとつ抜けた状態でスタートできるという。
ここは引き続き注視していきたいところですね。

あと6記事目の引き抜きの話ですが、6年間で2250億円という、すごい金額が出てますね。
一般人の私なんかだとまっさきに思い浮かぶ感想は「大谷くんよりすごいのか・・」ですね。

当然、このアンドリュー氏がMetaに移籍する=アンドリュー氏取り巻きの優秀な人達もついていったりする可能性はあるでしょうから、そういった価値も含まれていると思いますし、元々は彼が元々いた会社を買いたいとMetaは思っていたわけで、彼を引き抜くことで同じような効果が期待できる、と判断したのかもしれません。
さらにいうと、2250億円が現金で払われるのか?というと将来的な株式の付与、であったりそういったオプションも含まれている数字なのかな?と思います。

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