海外のAIニュースまとめ(7/14〜7/20)

atmaLab編集者
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July 21, 2025
海外のAIニュースまとめ(7/14〜7/20)
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① 米トランプ大統領、AIとエネルギー分野に7兆円規模の投資計画

アメリカのトランプ大統領が、人工知能(AI)とエネルギー分野に総額700億ドル(約7兆7千億円)規模の投資計画を発表しました。この計画には新たなデータセンター構築や電力網の強化が含まれ、官民でAI技術開発を後押しする狙いがあります。トランプ政権は国内産業の振興と技術競争力の向上を掲げており、今回の巨額投資もその一環です。ホワイトハウス関係者によれば、この投資は複数業界から拠出され、AI分野のインフラ整備とエネルギー供給の強化に充てられる予定です。

https://www.reuters.com/technology/trump-unveil-70-billion-ai-energy-investments-bloomberg-news-reports-2025-07-14/

② 米国防総省、xAIなど4社とAI開発契約を締結

アメリカ国防総省(ペンタゴン)は、Google、OpenAI、Anthropic、イーロン・マスク氏のxAIの4社に対し、AI技術開発を委託する契約を結びました。それぞれ最大2億ドル(約280億円)の契約で、高度な「エージェンティックAI」(自律型AI)を軍事や情報分析に活用する取り組みです。特にxAIは契約発表後、政府機関向けの対話型AI製品「Grok for Government」を公開し、最新のAIモデルを政府・安全保障分野で使えるようにすると発表しました。この大型契約により、米軍は最新AIを国防に取り入れつつ、民間AI企業との連携を深める狙いです。

https://www.axios.com/2025/07/14/xai-pentagon-grok-contract

③ AIスタートアップ「Windsurf」、買収劇の末に新興企業Cognition傘下へ

AIコード生成ツールで注目されていたスタートアップ「Windsurf(ウィンドサーフ)」が、米新興企業Cognitionに買収されることになりました。Windsurfは当初OpenAIによる30億ドルでの買収提案を受けていましたが契約が破談となり、直後にGoogle DeepMindが経営陣と技術の一部を24億ドルで引き抜く異例の展開に。残された事業と人員を引き受ける形で、AIエージェント開発企業のCognitionが買収に名乗りを上げました。Cognition社はWindsurfの製品・知財とGoogleに行かなかった従業員を獲得し、今後自社のAIコーディング支援エージェント「Devin」と統合する計画です。わずか数日間でめまぐるしく買収先が変わったこの騒動は、AIスタートアップ業界の熾烈な人材と技術争奪戦を象徴しています。

https://techcrunch.com/2025/07/14/cognition-maker-of-the-ai-coding-agent-devin-acquires-windsurf/

④ Meta、超大型AIデータセンターに数十兆円規模の投資を表明

Facebookの親会社Meta(メタ)のマーク・ザッカーバーグCEOは、今後「数千億ドル」(数十兆円)を投じて超巨大なAI専用データセンター群を建設すると発表しました。第1弾として2026年稼働予定の「プロメテウス」と名付けたデータセンターはギガワット級の電力を消費し、マンハッタンの市街地に匹敵する敷地規模になるといいます。Metaは先月、社内のAI部門を「Superintelligence Labs(スーパーインテリジェンス研究所)」に再編し、オープンソースAIモデル「Llama 4」での苦戦を踏まえ体制を強化しました。また、元Scale AI社CEOのアレクサンドル・ワン氏やGitHub元CEOのナット・フリードマン氏ら著名人材を迎え入れ、社内外から最高のAI人材を確保しています。巨額投資の背景には、AIによる広告ビジネス強化への自信と、将来的に人間を超える「人工汎用知能(AGI)」の開発競争で先頭に立つ狙いがあります。

https://www.theguardian.com/technology/2025/jul/16/zuckerberg-meta-data-center-ai-manhattan

⑤ OpenAI元CTOの新企業、シードで2兆円超調達し評価額1.2兆円に

OpenAIでCTO(最高技術責任者)を務めていたミラ・ムラティ氏が立ち上げたAIスタートアップ「Thinking Machines Lab」が、創業段階の資金調達(シードラウンド)で20億ドルを調達しました。主要ベンチャーキャピタルのa16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)などが出資し、企業評価額は120億ドル(約1.7兆円)に達しています。創業から1年足らずでの超大型資金調達となり、史上最大規模のシードラウンドの一つです。同社はまだ具体的な製品を公開していませんが、今後数ヶ月以内に研究者や企業向けのマルチモーダルAIプラットフォームを発表予定としています。ムラティ氏は自身のX(旧Twitter)投稿で、オープンソース要素のある革新的なAIシステムを開発中であり、近く発表すると述べています。巨額の資金を武器に、OpenAIやAnthropic、Google DeepMindに匹敵する次世代AI研究を目指す意欲的な動きです。

https://techcrunch.com/2025/07/15/mira-muratis-thinking-machines-lab-is-worth-12b-in-seed-round/

⑥ YouTube、AI生成の「大量生産コンテンツ」収益化に規制強化

Google傘下のYouTubeは、AIを使って自動生成された動画など「オリジナル性に欠ける大量生産コンテンツ」への収益化を制限すると発表しました。YouTubeのパートナープログラム(YPP)のガイドラインをアップデートし、盗用映像にAI音声を付けただけの動画などは「非本物(inauthentic)なコンテンツ」と見なし広告収入の対象外とします。同社は「以前から独自性のない繰り返しコンテンツは収益化不可だったが、ガイドラインを現状に合わせ明確化しただけ」と説明しており、AIの部分的な活用自体は引き続き許容されます。この変更は7月15日付で有効となり、クリエイターには自分の動画が規約に抵触していないか注意喚起されています。狙いは急増する低品質のAI動画“スパム”を抑制し、視聴者にとって価値あるオリジナル動画の比率を高めることにあります。

https://www.theverge.com/news/703772/youtube-monetization-policy-update-ai-spam

⑦ 米中AIチップ交渉:NVIDIA製「H20」輸出再開とレアアース取引が連動

米商務長官は、NVIDIA社が最新のAI用半導体「H20」チップを中国に再び販売できるようにする措置が、レアアース(希土類)を巡る対中貿易交渉の一環であることを明らかにしました。今年4月に安全保障上の懸念からH20チップの対中輸出を禁止していましたが、トランプ大統領とNVIDIAの黄仁勳(ジェンスン・フアン)CEOとの会談を経て方針転換されました。中国がアメリカ向け希土類の輸出制限を緩和する代わりに、米側が高性能AIチップの一部輸出を認める取引となっています。H20チップは米国外向けの最新型より性能を落とした仕様ですが、中国企業にとって依然魅力的であり、販売再開の報道を受けて中国企業は購入の準備を進めています。一方、米議会ではこの決定に対し「中国の軍事力強化につながりかねない」と懸念する声も超党派で上がっています。米政府は最先端技術の優位を保ちつつ、対中交渉で経済的利益とのバランスを模索している状況です。

https://www.foxbusiness.com/fox-news-politics/nvidias-chips-china-us-trading-ai-dominance-rare-earth-access

⑧ AIデータ企業Scale AI、Meta出資直後に14%の人員削減

AI開発向けのデータ整備を手がける米スタートアップ「Scale AI(スケールAI)」が、全社員の14%にあたる約200人のレイオフ(解雇)を実施すると発表しました。わずか1ヶ月前、Meta社がスケールAIに143億ドルを出資し株式の49%を取得すると同時に、創業者のアレクサンダー・ワンCEOをMeta側に迎え入れたばかりでした。新任CEOとなったジェイソン・ドロイジ氏は社員へのメールで「生成AI分野に過去1年で急拡大しすぎ、非効率や重複が生じた」ため組織を再編すると説明しています。今回の削減には世界各地で契約していたデータラベリング作業者500人との契約打ち切りも含まれ、事業のスリム化を図る方針です。AI業界では大型投資や人材獲得が相次ぐ一方、一部では効率化のための人員整理も始まり、成熟への過程に入ったことを示す動きと受け止められています。

https://www.theverge.com/news/708377/scale-ai-layoffs-14-percent

⑨ OpenAI、「ChatGPTエージェント」機能を発表 – 複雑なタスクの自動遂行が可能に

ChatGPTの開発元であるOpenAI社は、対話型AI「ChatGPT」に外部サービスやウェブを連携して複雑な用事を自動でこなせるエージェント機能を追加すると発表しました。新機能「ChatGPTエージェント」は、ユーザーの指示に基づきウェブ検索や他サイトへのログイン、コードの実行まで行える高度なAIアシスタントです。例えば結婚式参列用の服装をドレスコードと天気を考慮してネット注文する、といった手順もChatGPTが一貫して代行できます。大手各社も同様の自動タスク処理AI(AIエージェント)の開発に注力しており、OpenAIはこの分野でも先行する狙いです。エージェント機能はまず有料版ユーザー向け(ChatGPT Plus/Pro/Team)に提供開始され、ユーザーは自身のGoogleカレンダーやGmail、GitHubなどを接続し、AIに必要な情報収集から実行まで任せることができます。この進化により、ChatGPTは単なる会話相手から「頼れる万能AI秘書」へと一歩近づいたと言えます。

https://www.reuters.com/business/openai-unveils-chatgpt-agent-handle-tasks-ai-apps-evolve-2025-07-17/

⑩ MIT研究:「ChatGPT頼りの執筆」で脳活動低下、学習効果に懸念

米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが、エッセイ執筆にAIチャットボット(ChatGPT)を使うと人間の脳の働きが鈍る可能性があるとする研究結果を発表しました。ボストン地域の18~39歳の被験者54人を3グループに分け、(1)ChatGPTを使用、(2)インターネット検索のみ使用、(3)AI非使用で、それぞれ数ヶ月にわたり複数の小論文を書かせたところ、ChatGPT使用組は脳波による脳の関与度合いが最も低く、執筆への主体性や記憶定着率も著しく低かったと報告されています。特にChatGPT組は回を追うごとに文章表現が画一的になり、最後には提示された課題を丸ごとAIに解かせ写す傾向すら見られました。一方、自力で書いたグループは脳の多領域が活性化し、創造性や記憶力も高かったとのことです。この研究は査読前の予備段階ながら、研究者は「安易なAIツールへの依存が長期的な思考力の発達を阻害する恐れがある」と警鐘を鳴らしています。特に子どもや学生など発達途上の脳への影響を懸念し、教育現場でのAI利用に慎重な議論が必要だと指摘しています。

https://time.com/7295195/ai-chatgpt-google-learning-school/

‍編集者コメント

‍今週も特にコメントしたくなるニュースはなかった(いつも通りの買収やら投資やら)んですが、3番目の記事でも話題になっている『AIコード生成ツール』はみなさん早く使ってみた方が良いと思います。

私はCursorというコード生成ツールを使ってWEBアプリを作ってみたりしてますが、ほんとヤバいです。
ただのプログラマーはほんと不要になるな・・と肌で感じます。
当然、プログラムの基本とか、WEBサーバーとは、、とか知ってた方がスムーズに開発ができるとは思いますが、頑張れば誰でもWEBアプリ、スマホアプリを作れる時代が来てるなと思います。

AIに代替されてしまわないよう、気を引き締める今日この頃です。

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