Imagenとは?
Imagenは、GoogleとDeepMind(2010年創業、2014年にGoogleが買収)が共同開発した、テキストによる指示から画像を生成するAIです。単なるイラストではなく、写真と見間違えるほどリアルな画像を生成できる点が最大の特徴です。
長く複雑なテキスト(プロンプト)を正確に理解し、ユーザーのイメージに近い画像を出力できます。代表的な生成AIであるGemini内から使用でき、使いやすい点も魅力です。
Imagenの特徴
高精細でフォトリアル&文字描画
Imagenは、看板やパッケージに描かれた極小文字まで鮮明に表現可能です。リアルな質感の人物描写において、他の画像生成AIを上回ると評価されています。特に写真クオリティの画像生成では、商用・広告用途にも十分耐えうる品質の画像を生成できる点が特長です。
マルチリンガルプロンプト
日本語・英語・中国語など、複数言語のプロンプトに対応しており、各言語の文脈を理解した上で画像を生成します。
長文プロンプトを処理可能
風景・人物・構図・ライティング(照明の角度や明るさ)など、複数の要素を指定した長く複雑なプロンプトでも問題なく理解し、理想に近い画像を生成します。
編集・拡張機能
背景のみを再生成したり、画像のキャンバスを広げ背景などを新たに生成する「アウトペイント」、画像のアップスケール(2K/4K対応)など、細やかな調整や編集機能も充実しています。
外部連携
Canva、Adobe Firefly、Geminiアプリなどと連携しており、生成から編集・活用までのプロセスを各プラットフォームから一貫して行えます。
最新バージョン(Imagen 4)の進化
2025年5月公開のImagen 4では画質・文字描写の正確性、生成スピードが大幅に向上しました。モデルは「Imagen 4」「Imagen 4 Ultra」の2種類から選択可能です。
- Imagen 4:高速&低コストの通常モードです。
- Imagen 4 Ultra:最高画質、商用利用に最適です
Imagenの料金 / 商用利用
無料枠
Google AI StudioやGemini上では、一定枚数まで無料クレジットで画像生成が可能です。Google AI StudioはGoogleの各種AIをより高精度に扱える、どちらかというと開発者向けのプラットフォームです。ただ、いずれも非エンジニアでも簡単にImagenを試せます。2025年7月現在では、無料のGoogleアカウントでもImagen 4が利用可能です。
Gemini有料プラン
Googleのプランには、個人・家族向けのGoogle Oneと、法人向けのGoogle Workspaceの2つがあります。
個人の場合は、Google Oneプランの最上位プランのGoogle AI Proの契約をすれば、1日の画層生成枚数が無料版の10〜20枚よりも増加し、100〜150枚程度まで生成可能です。また、Google WorkspaceにはAI機能が標準搭載されています。
Google Oneのプラン(それぞれ月額金額)
- ベーシック:290円(税別)
- プレミアム:1450円(税別)
- Google AI Pro:2900円(税別)
Google Workspaceのプラン(それぞれ年間契約の場合の月額金額)
- Starter:800円(税別)
- Standard:1,600円(税別)
- Plus:2,500円(税別)
商用利用
生成された画像の商用利用について、明確に禁止されている記載はなく、Google CloudのVertex AI利用規約を遵守すれば商用利用が可能であるとの見解が一般的です。
実在の人物や創作物のキャラクターなどの画像を生成しての使用は、多くのAI生成画像を商用利用する時と同様、最新の注意を払ってください。画像生成AIの商用利用については下記の記事でも紹介していますので、参考にしてください。
画像生成AIを商用利用するための完全ガイド
https://www.atmalab.co.jp/ai-articles/commercial-use-image-ai-tools-guide
Imagenの使用方法3つ
Google AI Studio (Gemini):非エンジニア向け
ImagenはGemini、またはGoogle AI Studio上で使用可能です。Geminiは一般ユーザー向けのチャットサービスで、Google AI StudioはGeminiを含め、複数のAIモデルを利用できるプラットフォームです。いずれもブラウザでプロンプトを入力すれば、誰でも使用可能です。
ImageFX:非エンジニア向け
Google Labsに公開されている試用版です。Google Labsとは、Googleが開発中の新しい機能やサービスをユーザーに試してもらうためのテストプラットフォームです。その中で利用できる画像生成AIサービスが「ImageFX」で、そこでImagenの画像生成AIを使用可能です。アカウント登録のみで使用可能なため、気軽に試したいユーザーにもおすすめです。無料で、テキスト入力だけで画像を生成できます。
Vertex AI (Google Cloud):エンジニア向け
Vertex AIは、Googleが提供する、機械学習やAI開発が可能なプラットフォームです。Google が提供するクラウドサービスのGoogle Cloud上で提供されているAPIを用いて、コードベースで画像生成が可能です。大規模な画像生成や業務用システムへの組み込みに適しています。
Imagenを実際に使用する
今回は、無料で簡単に使用できるGoogle AI Studioでの手順を紹介します。
Google AI Studio / Geminiで試す手順
まず、Google AI Studio (https://aistudio.google.com/)にアクセスします。

Try Geminiを選択し、利用規約に同意します。

左のメニューからGenerate Mediaを選択します。

画面中央にあるExplore modelsのなかからImagenを選択すると、プロンプトを入力する画面になります。 (https://aistudio.google.com/prompts/new_image)

ここでプロンプトを入力して、Runを押すと、画像が生成されます。わずか数秒で画像が生成され、すぐにダウンロードできます。

画像上に表示される右下のアイコンをクリックするとダウンロードやGoogleドライブに保存可能です。

Sushi Chef Making Tuna Nigiri というとても簡単なプロンプトですが、人物の画像は違和感がありません。握った後にマグロに包丁を入れているという部分はかなり気になりますが…追加でいくつかプロンプトを指定していきます。。


1行程度のプロンプトから、より具体的なプロンプトを指定してきます。


「鮨を握る」という表現が難しいようなので、「包丁で切り分けている」に変更します。


かなり違和感がない画像が生成できました。
今回のプロンプト
- サイズ:16:9
- 用途:飲食店のWebサイト用
- 被写体:30代の日本人男性。ヒノキのカウンターで、マグロのブロックを包丁で切り分けている。
- スタイル:リアル写真。
- 雰囲気:真剣
- 色彩:明るみのある照明と木のぬくもりがある雰囲気。
- 構図:正面。カウンターの客目線で、引き気味。
※注意点として、チャット型AIのように履歴が残らないため、画像はこまめにダウンロードしてください。
Imagenを使うコツ
プロンプトを具体的にする
イメージに近い画像を得るには、以下の要素を具体的に指定するのが効果的です。
- 被写体:人物の年齢・性別・具体的な構図など
- スタイル:写真・イラスト・絵画など
- アングル:具体的な構図について
- ライティング:明るさ
- 色彩:鮮やか・白黒など
ちなみに、この記事の冒頭のアイキャッチ画像もImagenで生成しました。以下がプロンプトになります。

- サイズ:16:9
- 用途:ブログのアイキャッチ
- 被写体:20代の日本人女性。画家を目指す美大生。絵を描いている。
- スタイル:ポートレート写真
- 雰囲気:穏やか
- 色彩:鮮やか、ビビッド、サイバーパンク
- 構図:斜め横、やや俯瞰
- 場所:夜の街
- 品質:写真のような品質
プロンプトの指定方法については、Google Cloud上のドキュメントで具体的かつ分かりやすく解説されていますので、参考にしてみてください。
プロンプトと画像属性のガイド
https://cloud.google.com/vertex-ai/generative-ai/docs/image/img-gen-prompt-guide?hl=ja
ネガティブ語句の活用
「without」「no」「blurred」などの語句を使うことで、不要な要素を除外できます。たとえば、「背景に人物はいれない」「周りに高いビルはない」などです。AIは自動的に要素を補完する傾向があり、意図しないものが出力される場合があるため、除去したい内容は明確に指定しましょう。
言語によるニュアンス調整
英語にも日本語にも対応していますが、同じ内容でも言語によってニュアンスが異なります。より理想に近いイメージを得るには、目的に合った言語で入力するのが効果的です。
- 日本語:和風イラストや昭和レトロなど、繊細な描写に強みがあります。
- 英語:ファンタジーやサイバーパンクなど、流行のスタイルに適しています。
コスト最適化
Imagenで画像を生成する際は、「モデル」を使い分けることで効率的にプラン内で画像を作成できます。ラフ画像は「通常モード」というモデルで複数生成し、最終候補のみを「Ultra」というモデルで高解像度化するのが効果的です。これにより、クレジットの消費を抑えることができます。
まとめ
GoogleのImagenは、非常にリアルで高精細な画像を生成できるAIモデルです。複雑なプロンプトや日本語を含む多言語入力にも対応しており、個人の創作活動からビジネスにおける商用利用まで、幅広く活用できます。
最新のImagen 4では、画像の精度や生成速度がさらに向上しており、プレゼン資料のビジュアル作成やコンテンツ制作などに活用できます。無料プランから利用を開始できるため、まずはGeminiやGoogle AI Studioで手軽に試してみるのがおすすめです。