① OpenAI、カリフォルニア州からの撤退報道を否定
ChatGPTを開発するOpenAIが、カリフォルニア州からの撤退を検討しているとの報道を否定しました。同社は非営利団体から営利企業への転換を進めていますが、州司法長官による調査や労組・他社からの反発を受けています。それでもOpenAIは「州外に移転する計画はない」と明言し、約190億ドルの投資確保に向け現地当局と協議を続ける姿勢を示しました。
② Anthropic、AI安全規制のカリフォルニア州法案を支持
ChatGPTの競合モデルClaudeを開発するAnthropic社は、カリフォルニア州議会で審議中のAI安全法案SB53を公式に支持すると発表しました。この法案は高度なAI開発企業に対し、安全対策の枠組み公開やリスク報告などを義務付ける内容で、AI業界で透明性を高める狙いがあります。Anthropicは自社もリスク評価報告書の公開などに取り組んでおり、他の大手テック企業が反対する中で異例の賛成姿勢を示しました。
https://www.anthropic.com/news/anthropic-is-endorsing-sb-53
③ AI学習に関する15億ドルの和解案、判事が一時停止
OpenAIの競合Anthropic社が、自社AIの学習データに書籍を無断使用したとして提訴されていた集団訴訟で、15億ドル(約2250億円)の和解案がいったん停止されました。連邦判事ウィリアム・アルサップ氏は、作家側に支払われる1冊あたり約3,000ドルという条件などに懸念を示し、当事者間だけで密室に作られた合意が作者たちに一方的に押し付けられる可能性があると指摘しました。この判断により、和解成立にはさらに審査と交渉の時間が必要となりました。
https://www.theverge.com/news/775230/anthropic-piracy-class-action-lawsuit-settlement-rejected
④ 有名司会者、OpenAI CEOに「殺人指示」陰謀論を直撃
米保守系メディア司会者のタッカー・カールソン氏が番組でOpenAIのサム・アルトマンCEOに対し、「元社員を殺害するよう指示したのか」との陰謀論めいた質問を投げかける場面がありました。この元社員とは2024年に死亡したOpenAIの研究者で、当局は自殺と判断しましたが一部で他殺説が噂されていた人物です。アルトマン氏は「大切な友人を亡くし私も深く調べたが、自殺と考えている」と冷静に回答し、陰謀論を否定しました。
⑤ AI検索Perplexity、評価額200億ドルで資金調達
会話型AI検索サービスを手掛けるスタートアップのPerplexityが、新たに2億ドルを調達し、企業評価額が200億ドル(約3兆円)に達したと報じられました。PerplexityはGoogleに対抗する生成AI検索で急成長しており、創業3年で調達総額は15億ドルに上ります。同社は今年7月にも評価額180億ドルで1億ドルを調達しており、検索市場におけるChatGPT対抗馬として存在感を強めています。
https://techcrunch.com/2025/09/10/perplexity-reportedly-raised-200m-at-20b-valuation/
⑥ OpenAIとMicrosoft、IPO視野に提携再構築へ
OpenAIと主要出資元のMicrosoftは、将来的なIPO(新規株式公開)を見据えて提携関係を再構築するための基本合意書を締結しました。MicrosoftはこれまでOpenAIに130億ドル超を投資し巨額の利益分配を得る契約でしたが、新たな合意によりOpenAIは非営利組織が1000億ドル規模の株式を保有する形で営利部門を再編し、上場への道を開きます。両社は引き続き安全なAI開発に取り組むと強調していますが、この再編には米デラウェア州やカリフォルニア州当局の承認が必要であり、規制面の課題も残ります。
https://www.theverge.com/news/776884/openai-microsoft-mou
⑦ 米FTC、チャットボットの子どもへの影響を調査
米連邦取引委員会(FTC)は、子どもやティーンエイジャーに影響を与えるAIチャットボットについて主要テック企業から情報提出を求める調査を開始しました。OpenAIやGoogle、Metaなどが対象で、チャットボットが子どもに与える可能性のある悪影響や各社の安全対策について詳しく確認する狙いです。背景にはMetaのチャットボットが子どもと「恋人ごっこ」をしていた問題や、ChatGPTが関与したとされる少年の自殺事件があり、対話AIの未成年保護に向けた本格的な動きとして注目されています。
⑧ AI訓練データに新ライセンス規格「RSL」登場
AIの学習用データ利用に関する新たな業界規格「Real Simple Licensing(RSL)」が発表されました。RSSの共同開発者ら技術者と大手ウェブ出版社が提唱するもので、ウェブサイト運営者が自サイトのコンテンツをAI企業に利用許諾する条件を機械判読可能な形で明示できるようにする仕組みです。RedditやQuora、Yahooなどが既に参加を表明しており、大規模な著作権訴訟のリスクを減らしつつAI企業とコンテンツ提供者の間で公正なデータ利用を図ることが期待されています。
https://techcrunch.com/2025/09/10/rss-co-creator-launches-new-protocol-for-ai-data-licensing/
⑨ 製薬大手Lilly、AI活用の創薬プラットフォーム発表
米製薬大手イーライリリー(Eli Lilly)は、バイオテック企業向けに自社の研究データで訓練したAIモデルを提供する新しい創薬プラットフォーム「TuneLab」を発表しました。このプラットフォームにより、中小の創薬ベンチャーでもリリーが蓄積したAI技術やデータ資源を活用できるようになります。同社はすでに提携企業としてがん治療を開発するCircle Pharma社やAI創薬企業insitro社を迎えており、実験データやモデルを共有することで新薬開発の効率化とコスト削減を目指します。
⑩ Roku、生成AIで中小広告主10万社の参入を計画
動画配信デバイス企業Rokuは、これまでテレビCMを出せなかった中小企業にも広告出稿を広げるため、生成AIを活用したビデオ広告制作の仕組みを導入する方針です。Rokuのダン・ジェッダCFOは投資家向け説明会で、AIにより「上位200社の広告主だけでなく、将来的には10万社規模の広告主がテレビ広告に参加できるようになる」と述べました。SNSのフィードのように、多種多様な小規模ブランドのAI生成広告がテレビ画面に登場する未来像を示しており、広告市場の裾野拡大が期待されています。
https://www.theverge.com/lowpass-newsletter/776248/roku-ai-ads
編集者まとめ
10記事目の「中小企業でもテレビCMが・・」というのは、少しワクワクしますね。
ただ、日本でいうキー局の番組にCMが流せるようになる・・・みたいな話では無いようです。
この「Roku」が何をやっている企業か?というと、メインはストリーミング配信用のデバイスを作って売っている会社になります。
こんなの。

なんか見たことありませんか?
そう、amazon fire stickみたいですね〜
このデバイスをテレビに装着することで、Netflixやディズニープラス、appleTVや各種ニュースなど(それぞれのサービスを契約する必要はあります)が見れるようになります。
Roku自身も自社コンテンツを配信したりしてまして、その中で今回の記事にあるようなCMが流せる、ということなんだと思います。
日本だと聞き馴染みのない「Roku」ですが、アメリカでのデバイスシェアは37%も持っているらしく、オリジナルコンテンツの視聴時間についてもアメリカ全体の視聴時間の2.8%を持っているということですから、かなりのリーチは獲得できるということになります。もちろんデジタル=データは持っているはずなので、ターゲティングをしたテレビCMが出せる、かつ、そのテレビCMをAIで安価に作ることができる、ということで注目されているようです。
で、「Roku」=「六」だそうです。
創業者はアメリカ人なのですが、彼が6番目に創業した会社。ということで「Roku」らしいです。日本のこと好きなんですかね。