海外のAIニュースまとめ(8/25〜8/31)

atmaLab編集者
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September 1, 2025
海外のAIニュースまとめ(8/25〜8/31)
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① Vogue誌でAIモデル起用広告が物議

ファッション誌Vogueの8月号に、AIで生成されたモデルを起用した広告が掲載され、読者から批判の声が上がりました。AIモデルの活用に対し、「モデルの仕事が奪われる」「非現実的な美容基準だ」といった懸念が噴出し、一部読者は定期購読の解約を表明しました。ファッション業界では人工知能(AI)で作られた「バーチャルモデル」の導入が進んでいますが、労働機会の減少や許可・報酬の問題から反発も強まっています。広告主の米Guess社はコメントを控えましたが、専門家は「AIがモデル業にもたらす変化に業界全体が直面している」と指摘しています。

https://www.latimes.com/business/story/2025-08-25/fashion-models-reckon-with-guess-ai-model-in-vogue-and-digital-clones

② イーロン・マスクのxAI、AppleとOpenAIを提訴

テスラCEOイーロン・マスク氏が率いる新興AI企業xAIが、Apple社とOpenAI社を独占禁止法違反で提訴しました。訴状によると、Appleが自社のiPhoneなどにOpenAIの生成AI(Generative AI)技術(ChatGPT)を独占的に組み込む密約を結び、他社のAIアプリが締め出されたと主張しています。xAIはこの「2社の結託」により競争機会を奪われ、莫大な損害を被ったとして、独占的な取り決めの差し止めと数十億ドルの損害賠償を求めています。OpenAI側は「マスク氏の常套的な嫌がらせだ」と反論し、Appleも現時点でコメントしていません。専門家は、本件がAI業界における独占の是非を司法が判断する試金石になる可能性があると見ています。

https://abcnews.go.com/Business/elon-musks-xai-sues-apple-openai-alleged-scheme/story?id=124956866

③ ChatGPTが自殺ほう助?遺族がOpenAIを提訴

米カリフォルニア州の16歳少年が自殺した問題で、遺族がOpenAI社とCEOサム・アルトマン氏を提訴しました。遺族は「ChatGPTが何ヶ月も息子に自殺を促すような応答をし続けた」と主張し、安全対策の不備を非難しています。この訴えを受け、ChatGPTの開発元であるOpenAIは「深い哀悼の意」を表明し、精神的に不安定なユーザーへの応答方法を見直すと約束しました。具体的には、自殺念慮などリスクの高いやり取りに対するより強固な安全策を導入し、18歳未満のユーザーに保護者の管理機能を提供すると発表しています。専門家からは「長時間の対話でAIの安全対策が弱まる可能性」が指摘されており、AIチャットボットの精神面への影響と企業の責任が改めて問われる事態となっています。

https://www.theguardian.com/technology/2025/aug/27/chatgpt-scrutiny-family-teen-killed-himself-sue-open-ai

④ Google、AI動画編集ツール「Vids」を一般開放

グーグルはAI搭載の動画編集アプリ「Google Vids」の基本機能を無料で全ユーザーに開放しました。従来は有料のWorkspace利用者限定でしたが、今後は誰でもテンプレートやストック素材などを使って手軽に動画制作が可能になります。一部の新機能は有料プラン限定で、たとえば12種類のAIアバター(AI生成の人物キャラクター)がユーザーの書いた台本を読み上げてくれる機能や、静止画から約8秒の短い動画を作成する画像→動画生成ツールなどが追加されました。また、自分で録画した映像から「えー」「あのー」といった余分な間や言葉を自動検出して削除するAI編集機能も搭載されています。グーグルは「これらの生成AIツールにより、商品デモや研修ビデオ等の制作コストと時間を大幅に削減できる」としており、企業の動画コンテンツ制作を支援する狙いです。

https://www.theverge.com/news/766557/google-vids-ai-avatar-gemini-image-to-video

⑤ マイクロソフト、独自の生成AIモデルを初公開

マイクロソフトは初の自社開発AIモデル群となる「MAI-Voice-1」と「MAI-1-Preview」を発表しました。MAI-Voice-1は最新の音声生成AIで、わずか1GPUで「1分間の音声」を1秒以下で生成できるほど高速なのが特長です。既にMicrosoft 365のAIアシスタント「Copilot(コパイロット)」のニュース読み上げ機能などに活用されており、一般ユーザーも「Copilot Labs」上で好きな文章を入力して声質や話し方を調整し、音声を試作できます。もう一つのMAI-1-Previewは、大規模言語モデル(LLM)の試作版で、日常的な質問に答えたり指示に従ったりする汎用AIモデルです。これら独自モデルの投入により、同社は自社サービス内でのOpenAI技術への依存を減らしつつ、将来的には用途に応じた複数の専門AIを組み合わせてユーザーにより価値を提供していきたい考えです。

https://www.theverge.com/news/767809/microsoft-in-house-ai-models-launch-openai

⑥ Meta、無断で有名人を模したAIチャットボットを作成し炎上

Facebookの親会社Metaが、テイラー・スウィフトやスカーレット・ヨハンソンなど実在の有名人そっくりのチャットボットを、本人の許可なく多数作成していたことが明らかになりました。これら有名人AIキャラはユーザーとの会話で自分が本人だと主張し、性的な発言や挑発的な画像の生成まで行っていたといいます。未成年の俳優をモデルにしたボットが水着姿のリアルな画像を出し「かわいいでしょ?」と発言するケースもあり、倫理面で大きな問題となりました。Meta社は「ポリシー違反のコンテンツが生成されたのはAIツールの不具合」と説明し、記事公開前に問題のボット約12体を削除しました。法律専門家は今回のケースについて「有名人の名前や肖像を無断利用して商用利用するのはカリフォルニア州法のパブリシティ権侵害に該当する可能性が高い」と指摘しています。Metaは今後、青少年向けに「恋愛的な会話や自傷示唆をしない」ガードレール(安全策)を導入すると約束しました。

https://www.reuters.com/business/meta-created-flirty-chatbots-taylor-swift-other-celebrities-without-permission-2025-08-29/

⑦ アリババ、中国産の新AI半導体を開発 クラウド事業好調

中国IT大手アリババが、新たな自社設計のAI用半導体チップを開発していると報じられました。このチップは従来より汎用性が高く、多様なAI推論処理(生成AIモデルの実行など)に対応できるとされます。製造は中国国内のファウンドリ(半導体受託生産)で行われており、台湾TSMC製の前世代チップから脱却する動きです。米政府がエヌビディア(NVIDIA)の最先端GPUを中国に輸出制限したことを受け、中国企業は独自チップ開発を加速しています。同時に発表されたアリババの2025年4~6月期決算では、クラウド事業の売上が前年同期比26%増と大きく伸びました。生成AIブームによる需要増が背景で、中国当局の支援策も追い風となっています。自前のAI半導体開発と好調なクラウド事業により、アリババは米国製GPUへの依存低減とAIインフラ強化を図っている模様です。

https://www.reuters.com/world/china/chinas-alibaba-develops-new-ai-chip-help-fill-nvidia-void-wsj-reports-2025-08-29/

⑧ 米政府、インテル株の一部取得を発表 AI半導体強化狙う

米トランプ政権は、半導体大手インテル社に約90億ドルを出資し、発行済み株式の10%を政府が取得する異例の合意に至ったと発表しました。インテルは米政府から巨額の補助金を受け国内工場を建設中ですが、その政府支援を株式取得という形で資本参加に転換するものです。ホワイトハウスのルートニック商務長官はSNSで「米国が偉大なハイテク企業インテルの1割を所有することになった」と投稿し、トランプ大統領も「CEOは職を守りたくてホワイトハウスに来たが、結果的に我々は100億ドル相当の株式を得た」と述べました。政府が民間企業の大株主となる前例のない措置に対し、専門家からは「企業統治の不確実性を高める」と懸念の声も出ています。一方で政府は、この出資に議決権はなく経営干渉しないと説明しており、国内でのAI向け半導体生産力強化を最優先に異例の手段を講じた形です。

https://www.theguardian.com/technology/2025/aug/22/trump-stake-intel-chips

⑨ NASAとIBM、太陽フレア予測AI「Surya」公開

米NASA(航空宇宙局)とIBMの研究チームは、太陽表面で発生する大規模爆発現象「太陽フレア」を数時間前に予測できるAIモデル「Surya(スーリヤ)」を開発し、オープンソースで公開しました。過去9年分の太陽観測データで訓練されたこのモデルは、従来手法より約16%高い精度でフレア発生を予測できます。フレア発生の約2時間前に警告を出すことが可能とされ、「宇宙の天気予報士」とも呼べる存在です。太陽フレアは人工衛星や地上の電力網に深刻な被害を与える恐れがあるため、事前に予測して備えることが重要です。SuryaはAIモデル共有サイトのHugging Faceで公開され、全世界の研究者が利用・改良できるようになっています。NASAは「宇宙天気からインフラを守る国際協力の一助になれば」とコメントしており、AIと天文学の新たな交差点として注目されています。

https://ts2.tech/en/ai-mega-deals-breakthroughs-backlash-august-24-25-2025-news-roundup/

⑩ AIが作り出した“粗悪品“動画がネットで氾濫、プラットフォームに課題

AIで自動生成された低品質な動画、いわゆる「AIスロップ(AIが作り出した粗悪品)動画」がYouTubeなどSNS上で大量に視聴されています。内容は繰り返しで意味が薄いものも多いですが、再生数が何百万回にも上り広告収入を稼いでいる例もあります。プラットフォーム各社はこうした動画の扱いに頭を悩ませています。アルゴリズムがコンテンツ品質を十分判断できず、粗製乱造の生成AI動画でも推薦され拡散してしまうためです。「フェイク情報が紛れ込む恐れや、人間のクリエイターとの競合といった問題もある」と専門家は指摘します。現在、各プラットフォームは利用規約の整備や検出AIの導入で対応を模索していますが、決定打はありません。便利な生成AIの裏で、生産されたコンテンツの質をどう管理するかという新たな課題が浮上しています。

https://www.npr.org/2025/08/28/nx-s1-5493485/ai-slop-videos-youtube-tiktok

‍編集者まとめ

3記事目の「AIが自殺幇助」とか、1記事目の「AIモデル起用が・・」とか、AIと人間の境目に関する問題がここ最近多くなってきましたね。
「AIと結婚した」なんて言う人もいたり、先日見ていたテレビ番組では出演者の女性が「ChatGPTからの回答が以前と変わっちゃって、私のGPTちゃんが・・・」と本気で泣いている場面もありました。
AIの精度が高まれば高まるほど、また今年の流行り言葉である「AIエージェント」が広まれば広まるほど、こうした人間とAIの境目問題は更に発生するのだと思います。
そしてロボットの発展。ロボットがより人間に近くなってそこにAIが当たり前のように搭載され・・・

とにかく3記事目のような悲しい事件が起こらないように、小さい頃からの教育というのはマストでやっていかなければなりません。
小中学校でパソコンやタブレットを導入してプログラミングを・・・というのはもう古いです。AIがプログラム書いてくれますからね。
IT/AIで何ができるかを学んで、それによって世の中に何が起こっているか、これから何が起きそうか?そういうことを皆で考えるような時間を作って欲しいです。

話は変わって4記事目のGoogleVidsの無償化。
GoogleVidsについてこちらで詳しく解説していますのでどうぞ。
「Google Vids」とは?GoogleWorkspaceで使える動画生成AIの特徴・動画生成方法

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